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暮瀬堂日記〜海鞘(ほや)

 久しぶりに大宮で仕事を終えた。
 会社からの荷出しで出庫ミスがあり、顧客に迷惑を掛けてしまったが、謝罪すると次回でいいとのことであった。後輩が荷出しをし一緒に検品したが、
「グラムが書いてないですが、入数が同じなので大丈夫ですよね?」
「うん、そうだね」
 と答えてトラックに積んだが、新宿辺りで会社から電話があり、ミスを指摘された。
『グリコのプリッツ旨サラダ』、同じ銘柄だが「20×6、10×12」の違いであった。ミスが起きやすい商品なので、いい勉強になったと思う。

 大宮での休憩の際は、大抵マルエツに行くのだが、この日は、駅中の魚屋に足を運んだ。刺盛を買おうと思ったが、値が張るので踵を返そうとした時、海鞘が目に入った。初物に唾を呑み込み、迷わず会計を済ませた。

  海鞘水を呑み干し揺るゝ水平線

 帰宅後、口に広がる磯の香りに、三陸の海が広り続けた。

(旧暦六月十四日 大暑の節気 大雨時行る候)

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