暮瀬堂日記〜オリーブの実
オリーブの実が好物なので、塩漬があるとすぐ籠に入れてしまう。いつもはイタリア産を選ぶが、『ギリシャ産レモングラス塩漬』というのに惹かれて落手する。
帰宅して早速盛りつけていると、家人から問われた。
「ねえ、この間、レモンは秋だって言っていたけど、オリーブの実は季語になってるの?」
「確かオリーブの花は仲夏だったけど…ちょっと待ってね」
そう答えて、「日本大歳時記(秋)」をめくってみた。
「晩秋の季語に採用されてるね」
「レモンと同じ頃に生るということかあ。瀬戸内の辺りに行って見たくなるわね」
「俺は、地中海を触って、大の字になりたいなあ」
そんな会話をしながら、
オリーブの実りて空の群青に
そんな一句を戯れると、ギリシャの町並みが眼前に広がるようだった。
(新暦九月二十九日 旧暦八月十三日 秋分の節気 蟄虫坏戸【むしかくれてとをふさぐ】候)
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