【小説】アダチ区がなくなった日
ある日、俺は生まれ故郷を失った。
とある一人の政治家が、「同性愛者がいればこの町は滅びる」と発言したのがきっかけだった。
そんな言葉は、まぁごまんと浴びせられてきたのだが、今回いけなかったのがその政治家が実は稀代の天才科学者で大金持ちだったことである。
彼はアダチ区にスカイツリーに負けない巨大な鉄塔を立て、そこから電波を発信した。それは「同性愛者にアダチ区が認識できなくなる」と言う影響を与える、妙な電波だった。
ニュースを見て、俺は慌てて一人暮らしをしていたコウエンジから実家