【没記事】ポストコロナ時代に起きること #2
注意
この記事は2021年4月に書かれた没記事です。
完成させる気力がなくなったのでここに公開します。
相互渡航禁止協定
COVID-19で各国の初動では大きな違いがありました。
特に高く評価された台湾の場合、2019年末の段階でSNS上の告発に反応し、武漢からの渡航制限に踏み切りました。
一方日本の場合は湖北省に対して1月末、米国は2月初頭と対応の遅れが批判されました。
パンデミックへの初期対応として渡航禁止は有効でありながら、経済的損失や法的・外交的理由で政治的に難しい問題です。
しかし感染拡大後の現時点から見れば、当時躊躇したリスクはパンデミックで生じた損失と比べれば無視できるほどとさえ言えます。
実際に今回のパンデミックで渡航制限の判断が感染拡大に大きな影響を与えたかは疑問ですが、少なくとも政治的には重大です。
COVID-19終息後、次のパンデミックを見据えるとすれば早期の渡航制限は重要な課題です。
対策のポイントは大きく3つに分けられます。
・各国での国内法の整備。
・国家間の事前合意。国際法の整備。
・迅速な情報収集 (後述)。
迅速な渡航制限を実現する国内法や体制の整備は日本を含め多くの国で実現されるでしょう。
従来であれば人権や観光産業上の懸念から困難だったでしょうが、COVID-19の莫大な被害を鑑みればもはや問題になりません。
次に考えられるのは国家間の事前合意です。
COVID-19で入国制限が遅れたのは、制限される側が批判し外交的なリスクが大きいことが大きな理由です。
これを回避する有力な手段が、一方の国で感染症が拡大した場合に入国規制を行うという合意です。
・Bloomberg 2020年2月7日『中国からの入国規制に「強く反対」-華外務省報道官が各国を批判』
・朝日新聞 2020年2月15日『中国外相「一部の国が過剰反応」 入国制限策を批判』
・BBC 2020年3月13日『欧州委員長、米国の渡航停止は「一方的」 トランプ氏に批判の声』
そもそも入国制限は基本的に各国の裁量が大きく、この協定はトラブル予防を目的とする紳士協定に近いものになるでしょう。
具体的には2週間程度の緊急入国制限を各国に許可し、事後的に協議を行うというものだと予想します。
このような協定を条件を決め定めたとしても、実際に適用される段階で批判されることは避けられません。
ですが有力な手段となることも否定できません。
政治的な諸手続きで消費される期間を数か月から数日に短縮することは、感染症対策としても政治上も大きな意義を持ちます。
残念ながらCOVID-19の発生源であり、今後同様の事態が予想される中国の協力は期待できません。
しかし次の感染症はどこで発生するか分かりませんし、入国規制は感染症の初期以外にも有効です。
十分協定が拡大すれば態度を軟化させるかもしれません。
特にヨーロッパ諸国間で国境検査なしの入国を許可する「シェンゲン協定」は大幅な修正を余儀なくされるでしょう。
感染諜報活動
台湾の例からも、迅速な情報収集は感染症対策として極めて有効です。
感染拡大のごく初期に捉えることができれば入国制限を始めた処置が可能になります。
欧米先進国の間であればこれは相互の情報提供として平和的に実現可能でしょう。
一般医師によるWHOへの報告義務や人的交流などが考えられます。
もちろん自国で起きながら見逃された点を他国が発見することも期待できます。
一方で情報公開に消極的な国、中国・ロシア・いくつかのアフリカ諸国などに対しては諜報活動に近い行動を行うことになるでしょう。
感染諜報活動は、従来の諜報活動とは以下の点で違いがあります。
・取得した情報を秘匿するメリットがなく、多国間での協力が可能。
・重要地域が政治的理由ではなく、感染症発生率で評価される。
・収集する情報は通常合法的で、秘匿する正当な理由がない。
つまり「対象国は隠そうとするが、法的には保護されていない情報」を「対象国に手を読まれないように、合法的に」収集するというジャーナリズムに近い行為になります。
場合によっては外交官のような法的保護がされた国連職員のような地位が認められるかもしれません。
「集会の自由」見直し
長い間パンデミックを経験していなかった我々にとって、民主主義国家で集会の自由を規制しなければならない事態はあまり想定していませんでした。
集会の自由は抗議の表現の自由であり、民主主義国家であれば尊重されなければならない重大な権利です。
しかし集会が人命に関わるという事態を経験した我々は「集会の自由」に対する考えを改めなければならないでしょう。
これは必ずしもパンデミック下だけでなく、世界で年間数十万人もの死者を出すインフルエンザへの影響もある恒常的なものです。
集会の自由に対する制限は抑制的でなければならないという原則は変わらないにしても、ある程度の見直しが必要となるでしょう。
一方で感染症対策を反政府運動取締の口実としているのではないかという例も指摘されています。
逆に言えば正当な政治活動への取り締まりでも、一定の正当性が認められる事態が生じうるとも考えられます。
Human Rights Watch 2020年10月15日『タイ:非常事態宣言は取り締まりの口実』
長期的なCOVID-19研究
パンデミックの最中である現時点だけでなく、終息後もCOVID-19は人気のある研究テーマであり続けるでしょう。
そのため現在報道されていたり疑問に思っている疑問が数年後解消されるということも十分考えられます。
例えば「なぜワクチンの副反応が発生したのか」のような現時点でホットなテーマが、数年後にはっきりすることもあるかもしれません。
もちろん一番ホットなのは現時点ですから、今すぐ分かることもあるでしょう。