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【インク沼】ジェントルインク混色民の昔語りと取り止めのない話

文通村で頂いたお手紙の中に、セーラーさんの「四季織 桜森」インクを使ってくれたのがありました。それを見て色々と思い出したので、今回は昔語りエントリです。

現在販売中の「四季織」インクですが、最初は「ジェントルインク色織々」という、ジェントルインク(現在は廃番)の季節限定インクという扱いでした。
2009年〜2010年に4回に分けて全16色発売されました。「桜森」は2010年春の限定インクです。
初めて「桜森」を目にしたのは、当時文通していたカラーインク好きの方からのお手紙でした。ピンクだけど少しくすんだ感じ?特に掠れた部分の淡さが「桜」という感じがしました。カラーインクだけど、白さ(淡さ)を表現する所に感動したものです。
当時のカラーインクといえば、エルバン、伊東屋の初代カクテルインク、ヌードラーズ、プライベートリザーブ、色彩雫、ナガサワさんの神戸INK物語、(他、万年筆メーカーが純正で出していたもの)ぐらいでした。輸入物は色味がはっきりしており、色彩雫は寒色系がメインでピンクは秋桜しかなく、「桜森」で可愛い和のピンク色が増えて嬉しい!と喜びましたよ。

2007年にパイロットさんが「色彩雫」、ナガサワさんが「神戸INK物語」を出して下さった時も喜びましたが、それ以前の、万年筆で沢山のカラーインクを楽しむには、自分で混色する…。これがなるべくお金をかけずに色を使う方法でした。

セーラーさんのジェントルインクですが、2000年代はイエローオレンジ、グリーン、グレーなど、ちょっと珍しい色味が1本50ml/600円台で購入できました。
それプラス、蒲田ACTという文具屋さんに限定ジェントルインクがありまして、
ここでイエローグリーン、バイオレット、ピンク、レッドなど、混色するには絶対必要な色を揃えたのでした。(当時、レッドはカートリッジだけで販売)基本色が限定品となっていたこの頃、万年筆のカラーインクというのはさぞけったいなものだったのでしょう。

混色で必要な色数が大体10本ぐらいで、1本600円ちょっとだから6〜7000円ぐらい。あ、薄め液は無いので薬局で販売している蒸留水を使っていました。
7000円払ったらそれなりに色が使えるのだから安いものです。
ちなみにこの原色ジェントルインク、インク工房で使用する原色インクと一緒のものです。インク工房がメジャーになるのとほぼ同時に原色ジェントルインクの廃番が決まり、インク混色仲間達の間でブーイングが起こったのを覚えております。

この頃のインク交換というのは専ら自分で混色したインクを仲間同士で使ってもらうでした。私は文通用に可愛い色を使いたかったので、同じ文通&インク混色が好きな方と交流してました。相手がいい色を作っていたらレシピを教えてもらったり。(研究用として少量サンプルを送ってもらったりもしていました)
私はジェントルインクを主に使用していましたが、中にはプライベートリザーブインクを使用する方がいて、海外のインクと日本のインクの違いを楽しんだり。
良い組み合わせもあれば、「これとコレを混ぜるのは良くないね」というのも共有したり。(勿論混色は自己責任で)

混色が楽しかった一方、市場にメーカーさんのカラーインクが並ぶ様になってくると、市販品を購入した方が楽だと気付くわけです。混色していたのは市販で無かったからであって。それと、ジェントルインクの原色が手に入らなくなった事&手持ちの在庫も尽きた事もあり、いつの間にか混色仲間とも疎遠になってしまいました。当時作成していた混色記録ノートも処分してしまいました。これは今考えると残しておいた方がよかったと思います。処分したのはジェントルインク混色のレシピで、ジェントルインクの原色が手に入らないからという理由です。

余談ですが、ジェントルインク原色廃番と入れ替わりで、プラチナさんの「ミックスフリー」(現在は「ミクサブルインク」)が出てきました。が、できる色がどれも赤寄りの色味にならないかい?という事で、当時はこれで混色したいとは思わなかったですね。折角混色専用インクが出たというのに。
市販のカラーインクを色々試したい時期でもあったので、ミクサブルインクを購入するのは大分後の話になります。
(今現在はピンク・水色・黄色を所持しており、この3色で混色しております。)

話を戻して。
四季織シリーズ・ナガサワさんの神戸インク物語・石丸さんのインク工房を実際に目で見て、また現在世に出ているカラーインクは、最低限の色数で的確に色を表現しています。そして色に深みがある。自分の混色には深みが足りなかった。画材用カラーインクの延長な感覚で混色していたからでしょう。深みを出そうとして暗色入れたら、それはただの濁り要素でしか無いわけで。「桜森」の様に色味と白さの両立・共存なんて考えたこともありませんでした。

時は経ち、顔料インク「ストーリア」にミクサブルタイプが出ました。
今の所購入予定はないですが、ジェントルインクで混色していた頃のワクワク感が蘇りました。購入しないのは顔料の性質上粉っぽく見えてしまう所と、混色が低彩度かつ、色のレンジが赤紫〜青〜青緑に偏りそうと思った事、あと、毎日インクと戯れる時間は無いので、きっと顔料を固まらせてしまうでしょう、という事。
顔料インクは思っているより固まる時間が早いです。今のライフスタイルに合わないのが最大の要因かもしれません。

そうそう、四季織最新作の「雨音」シリーズですが、「しとしと」が久々の個人的ヒットです。茶色メインのレターセット(デコ)と合いそうだな〜と思いました。手持ちのくすみ青ポジションにある「蛍コート青」が無くなったら置き換えたいですね。まずはカートリッジからかな。

セーラーさんはインク工房を開いて、新作も出して…と、次はどんな色が飛び出すのか、興味は尽きません。これからも素敵な色を沢山世に出して頂きたいです。
以上、取り止めもない話にお付き合い頂き有難うございました。

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