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進学後の経済的虐待

教育虐待というと、「満点をとれ」「いい大学にいけ」と、高い点数、高い偏差値をとることを強いる、それに伴う、マルトリートメント(不適切な対応)が想起されますが、この項では「進学後の虐待」について考察します。

大学に入学して、間もなく、親が子供に「大学をやめろ」「家から出ていけ」という経済的虐待があります。これまで進学を考えて、高校生活を送ってきた、そして、これから大学生活が始まる、そこへ唐突に、子供を突き放してしまうわけです。

何の準備もなしに、いきなり、進路の変更を迫られる。しかも、家から出ろ、と。当然、生活費ももう出さない。子供からすれば、途方に暮れるでしょう。せっかく、受験に合格し、大学には入学金や前期の授業料も納めて、それほど、日も経っていないのに。

引き続き、大学生活を送るためには賃貸の部屋を借りたり、奨学金を借りる、にしても、通常、親の保証が求められます。しかし、そうした親の理解や協力が得られそうにもない。

また、では、就職するにしても、高卒で働くには、同世代のような、新卒採用のタイミングからはもう外れてるし、正規として、働けるところも限られてくるでしょう。

親からの絶縁。まずは、子供の生活場所を確保しないといけません。このあたりは、大学でも生徒の生活相談に対応する機能の拡充を求めます。365日、喫緊の事案において、避難できるシェルターの用意を。そのために、また、女子生徒への応対にあたっては女性スタッフが常駐してることも必要でしょう。

そのうえで、当人の意志はどうなのか。親の一方的な都合や家庭の事情で進路を諦めることがあってはなりません。進路コンサルとも相談しながら、当人が就学の継続を望むのか、あるいは別の進路を行くのか、いずれにせよ、当人への支援が不可欠です。

ここで、強調したいのは、バイトをしろ、と求めてはいけない、まして、女子生徒であれば、キャバクラや風俗で働くことを求めてはいけません。これは親が子供にそう、伝えても、子供は絶対にそれに応じてはいけません。夜職をさせてはいけない。

親の協力が得られない、そう若年者から相談があった場合、「甘えるな、(学費の分は)働け」と突き放すような態度をとる方が多いので。

当人が社会経験のためと、望んでバイトをするなら、ともかく、それを望まない生徒にまで、バイトを強いることがあってはならないでしょう。

それから、当人に精神疾患がある、対人緊張で同世代の群れでも孤立しがちである。あるいは身体上の疾患があり、そのための治療を、また身体上の障害があり、介助者を必要とする、のであれば、やはり、当人を支える措置が求められるでしょう。あわせて、当人の心身の状態に配慮された、進路も考えなくてはなりません。

児童養護施設など、若年者の福祉の対象は18歳未満を対象にしています。しかし、実際には18歳以上、20代や30代あるいはそれ以上であっても、親族の支援を必要とする人はいます。(それがなければ、自殺か、ホームレスか、あるいは低額の風俗で働くか、になってしまうので)

こういうわけで、短大、専門、大学であっても、学校組織のなかに、福祉系の職員をいれるべきであろうと。

そうした職員は学内での生徒間のイジメ、教職からのハラスメント、バイト先や地域、近隣住民とのトラブル、当人の学業、進路、キャリア形成の相談など、多岐にわたる問題に応じるべきです。

また、こうした、福祉等学生支援の充実はそれこそ、修学以前からさかのぼって、途切れることなく、組織的にやるべきでしょう。

私がネットの相談掲示板で活動していた時期、大学生に入学してほどなく、親からいきなり退学を迫られ、養育を放棄される事案は2つ。また、学費は出すけれど、衣類等の生活費や医療費は出してくれない事案は1つありました。

医療費を出してくれない事案。身体上の疾患、原因不明の痛み、神経に問題があるのでしょう、転倒しやすく、このため、膝に怪我が絶えない。さらには不整脈といった問題があり、また、親からは幼少期から情の薄い接し方もあり、当人は親との別居を望んでいましたが、私はその方のために有用な助言ができずじまいでした。

これら対する有効な支援は個人の善意だけではどうにもならないのです。組織的に動かないといけない。当初はNPOで動くとしても、やはり、最後は行政を動かさないといけません。

防衛予算が優先され、医療や福祉の分野の予算が削減されつつあります。政治は暮らしに直結する。政治のことを想わずにはいられません。NPOでの活動はしょせん、応急の処置でしかなく、結局は役所、専門の福祉施設、医療施設に頼ることになります。そのためには政治に働き掛けないといけない。

小学、中学、高校であっても、同様に、児童生徒への医療や福祉等の知識情報の提供と啓発、政治へ参加する主権者教育、進路相談の機会の拡充等、そのために、学校行事等の削減、教員以外のケースワーカーに相当する職員の拡充といった施策についても提言していきたいところです。



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