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汝の光を輝かせ

「らんたん」と聞くと懐かしい気持ちがする。大学生活で慣れ親しんだ言葉。

そんな『らんたん』という本が発売されていた。本屋で目を引いた2人の女性がクリスマスツリーの前で微笑み合う表紙。
手に取ってみると河井道の文字!

わたしが4年間を過ごした学園の創設に関わる物語だった。

大学の卒業式、一つのランタンから卒業生一人ひとりが手にしたろうそくに光を灯し、大教室が光の海になる。学園生活最後に目にした美しい光景。

そんな大学をわたしは今年の10月に訪れていた。目の前の道が塞がれて身動きが取れなくなっていた。「自分を許してあげて」という言葉をかけられた時、心に浮かんだのは美しい学園とキリスト教主事の先生の顔だった。

3年ぶりに訪れた学園は、コロナ禍のリモート授業で静かでひっそりしていた。

ひんやりとしていて荘厳なチャペルに一歩足を踏み入れた時、わたしは涙が止まらなかった。自分自身をどれだけ蔑ろにし、周囲の人たちをどけだけ傷つけたのか、大学生の頃とは全く変わってしまった自分を前にして悔しさとやるせなさが押し寄せてきた。

わたしの一時代を築いた学園でわたしは自分を再発見し心の内も変化した。その中で読んだ学園の創設者、河井道の生き方はわたしの心を強く動かした。

今のわたしは、あの学園生活に支えられていると言っていい。あの頃出会った愛おしい人たち、キリスト教に基づいた理念、大らかな教授たちと色彩豊かな小さな学園。

その一つ一つがわたしの心の支えであり、拠り所だ。

わたしはあの学園で学ぶことができて本当に幸せだった。

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