元号を使った商標登録について

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                       2019/04/12 第513号
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【 元号を使った商標登録について 】

こんにちは。知財アドバイザーのゴンです。

4月1日に新元号が発表され、5月1日から平成から令和の時代になります。「昭和生まれ」という言葉からも、レトロな響きを感じられます。
新元号を使った商品がたくさん出るのでは、と思われている方も多いのではないでしょうか。

特許庁からも注意喚起をしていますが、元号を使った商品名やブランド名は原則として商標登録ができません。一方、元号の入った社名は自由に登記できるため、新元号入りの会社が増えそうですね。

平成31年1月30日に商標審査基準が第14版に改訂されました。第3条第1項第6号では、それまでは「現元号」と記載されていたものを「元号」に改訂されました。
現元号以外の元号についても、元号として認識されるにすぎない場合には、自分と他人の商品・役務を区別できず認識力がないため、商標登録を受けることはできません。
単に現元号として認識されるにすぎない「平成」が旧元号となった場合も、同様に商標登録を受けることはできません。


識別力がないと判断される「元号」と他の識別力のない文字等を組み合わせた商標はどうでしょうか。例えば「平成からあげ」はどうでしょうか。「平成」などの元号単体では商標として認められず、「識別力がない」とされる「からあげ」などの文字と組み合わせて「平成からあげ」という名前にしても、やはり識別力がないという理由で商標登録はできません。

ただし、「平成からあげ」でも、名前を長年使い続けて多くの人が認識できるようになると、識別力があるものとして商標登録できる可能性はあります。
つまり、元号と認識されたとしても、ある特定の商品又は役務において使用された結果、需要者が特定の者の業務に係る商品又は役務であると認識できるに至っている場合には、商標登録を受けることが可能です。

会社名でも、皆さんもよくご存知の大正製薬や明治などは世間に広く知られているため、商標として認められたそうです。

また、改元前の「令和」も発表後は商標登録を受けることができません。今回の改定は、元号が変わる1か月に新元号が公表されたため、改元前に新元号の駆け込み申請が殺到するのを防ぐためかと思ったら、実はそうではなく、商標の審査基準が初めて公表された昭和46年から、「現元号は登録できない」と書かれていましたが、実際には現元号以外も元号は登録できませんでした。

それでも、改元を前に新旧すべての元号を登録できないよう明文化したことは、元号を使った便乗商法の抑止力にはなりそうです。

カタカナ・ひらがな・アルファベットならどうなのか。
ローマ字を見ただけでは、「対象」「対称」「大将」「大賞」などいろんな意味に捉えることができます。
元号だと思わない可能性は当然あるので、場合によっては登録される可能性があります。

また文字をデザイン化したロゴマークでは、登録の可能性はあります。ただし、デザイン化したローマ字で商標を得ても、「平成」や「へいせい」という文字の権利は別で、権利があるのはロゴマークだけになります。

今後、「平成」「令和」が商標の中でどのように使われるか、注目して見ていてください。
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