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病気治療の主役

こんにちは。健康生活アドバイザーのだんごママです。

定年を過ぎた今でも総合病院勤務を続けています。直接患者様と接することはほとんどありませんが、日々の業務の中で調剤薬局と外来患者様の服薬状況確認のやり取りをしています。

皆さんが病院で外来受診した際の薬は、調剤薬局でうけとられていると思います。処方箋の内容に疑問点があると、調剤薬局から病院の薬剤部に問い合わせの連絡が入ります。個人病院とは異なり総合病院になると問い合わせの回答まで時間がかかり、時には翌日まで返事ができないこともあります。院外疑義の半分くらいは、不足している薬を診察中に伝え忘れたので追加で出してほしいという内容です。処方箋に書かれている薬だけしか出すことができないため、湿布薬1種類だけでも処方医に確認しなければなりません。調剤薬局から医師の返事はまだかと催促の電話もしょっちゅうかかってきています。診察の際に伝え忘れがないよう、病状で伝えたいことや欲しい薬がある場合は、あらかじめ書き出しておくことをお勧めします。

服薬指導の一環として、調剤薬局へ飲み忘れた薬を持っていくと、無駄のないように日数を調整してくれます。通常ではさほど問題になることはないのですが、服用している薬によっては、ヒヤッとさせられることや説明の難しさを実感させられることが多々あります。

ワーファリンという血液をサラサラにする薬があります。1950年代から使われている薬で心筋梗塞発症後の二次予防や心臓人工弁置換術後などに服用する大事な薬です。血液検査の結果で量を加減しながら飲み続けます。検査で増量が必要と判断された患者様が、調剤薬局へ残薬を持ち込まれました。薬局から日数調整の連絡が入ったのですが、その量が2か月以上もあり、医師の処方通りに服用されていませんでした。毎日決められた量を服用しているのに改善されていないと医師は判断し、今回の処方から増量することを決めました。調剤薬局では、最近はきちんと飲むようにしていると言われたそうですが、そのまま増量するわけにもいかず、以前の量のまま次回の診察まできちんと服用してもらうように調剤薬局の薬剤師に指導をお願いしました。そのまま増量されたワーファリンを服用していたら、血液がサラサラになりすぎて、出血した際に血が止まらず大変な思いをした可能性があります。

別の患者様ですが、むくみが出ていたので利尿薬を処方されていました。診察の際にむくみがなくなったので、利尿薬をやめたいと医師に話しました。ですが、医師はむくみがないのは薬を飲んでいるからと説明したうえで利尿薬の継続を決めました。しかしその後調剤薬局から患者様が利尿薬はいらないと言われていると連絡が来ました。
むくみの原因はいろいろありますが、高齢になってくると心機能低下や腎機能の低下、血管の異常などでむくむようになります。薬を服用することで、見かけ上の症状(むくみ)はなくなりますが、根本的治癒ではありません。むくみが出ている人ほど、利尿薬を飲むとトイレが近くなり、煩わしく思われるのはわかるのですが、基礎疾患を考えると服用中止の選択はありませんでした。痛み止めや、風邪薬などは症状がよくなればやめる薬ですが、高血圧や糖尿病などの成人病治療薬は、きちんと服用することで普通の生活が長く続けられ、別の病気の発症を予防してくれます。

政府の方針としてマイナンバーカードを健康保健証として使用し、カルテをどの医療機関でも共有できるように勧めています。一元管理することで適切な医療提供を考えているようです。お薬手帳を活用することで重複投与や、過料投与に気付きやすくなりました。しかし、病院や薬局ごとで別々のお薬手帳を持たれている方や、意図的に処方薬を隠されている方もいて思うように進んでいないようです。薬剤師としては、病歴や検査結果、アレルギー情報、服用薬などが確認しやすくなるため、その方にあった医療を提案できるのではと思っています。病院を受診し、薬を処方されたらきちんと服用してください。不都合なことや(服用しにくいとか副作用発現など)納得がいかないことがあったら、医師や薬剤師に質問してください。治療の主役はあなたです。適切なサポートを受けられると思いますよ。

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