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リスクコミュニケーションについて

こんにちは。くらし活き活きアドバイザーの晴兵衛です。

以前のコラムで、「安全と安心の違い」について投稿しました。改めて、安全・安心を考察するうえで、いわゆるリスクコミュニケーションについて考えさせられます。

そもそも、リスクとは何か?を考えましょう。毎年夏になると、海や、川での水難事故が報じられますが、特に若年層の事故には心を締め付けられる思いです。
リスク(=危険度)とは、「危害のひどさ(ハザード)X発生頻度(確率)」と定義されます。この定義に従うと、私達の日常生活の中で極身近なところにリスクは多く存在していることになります。

電化製品や日用品でも使い方を誤ると大変な事になります。これを誤使用と言います。電化製品には、分厚い取説が付いており、消費者が間違った使い方をしないように、想定される誤使用の例が記載されています。台所用の塩素系漂白剤も「まぜるな危険」と表示してあります。これは、酸性物質と混ぜると有害な塩素ガスを発生するからです。
このように、私達はリスクを下げるために、説明書や表示をしっかり確認したり、経験則に基づいて「発生頻度」を限りなくゼロに近づける努力をしています。つまり、リスクを許容しています。

ISO/IEC ガイド51で定義される安全とは、「許容できないリスクのないこと」とされています。つまり、「リスクが許容できるものは安全である」となります。
自動車は、運転を誤ると事故が起こります。交通事故は、残念ながらゼロになりません。それでも、自動車は危険なものであるからただちにゼロにするべきだという議論はおこりません。これは、交通ルールを守ってハザードの発生頻度を下げる努力をしているからであり、社会として利便性とリスクを天秤にかけた時に、圧倒的に利便性が勝るのでリスクは受け入れられています。
同じくISO/IEC ガイド51には「許容可能なリスクとは、現在の社会の価値観に基づいて、与えられた状況下で、受け入れられるリスクのレベル」とあります。「現在の社会の価値観に基づいて」とありますが、社会の価値観は個人や地域によって千差万別なので、この事がリスクコミュニケーションを難しくしている一因でもあります。

参考文献;入門テキスト安全学  向殿政男著

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