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e-メタンをつくるメタネーションという技術

こんにちは。住環境アドバイザーのMadayoです。
 
先日、大阪ガスの研究施設であるCarbon Neutral Research Hubを見学する機会があり、最先端の技術に触れることができましたので、そのことについて紹介をしたいと思います。

その前に、みなさんのご家庭はオール電化ですか、それともガスをお使いですか?さらにガスなら都市ガスですかプロパンですか?もっともそれを聞いたところでこれからの内容にはほとんど関係ないのですが、都市ガスをお使いなら、これからの内容にいささか興味を持っていただけるのではないかと思いましたので・・・

都市ガスの主な成分はメタン(CH4)です。一般には天然ガスと呼んでいます。日本で使用する天然ガスはほぼ100%輸入されたものです。千葉県の一部などに地下の天然ガスを利用しているという地域もありますが、私たちが普通に使っている都市ガスは液化天然ガス(LNG)という形で輸入されたものです。それは化石燃料なので地球温暖化の原因となっています。したがって、一日でも早く消費を止めなければ、地球はますます暖まってしまいます。最近は国連の事務総長が、温暖化ではなく沸騰化と言い始めました。今私たちが住む地球はそのような危機的状態に至っております。

もう一つ。私たちは地下資源を燃料にして使い、使い終えた後の炭酸ガス(CO2)を捨てています。このような一方通行型の経済活動をリニアエコノミーと言います。それに対して、捨てたCO2を再利用して原料にし、加工してメタン(CH4)ガスを作って燃料にする→そこから出たCO2をまた再利用するという循環型経済をサーキュラーエコノミーと言います。つまり、サーキュラーエコノミーは捨てるものを出さず、それを全て原料にして、製品(ここでは「メタンガス」)を作り、これを繰り返すという経済活動です。

そんな背景の元で研究されている燃料がe-メタンなのです。e-メタンは空気中のCO2を回収して作られたメタンなので、サーキュラーエコノミーの典型例です。大阪ガスでは、メタネーションと呼んでいます。最近コマーシャルを見ますね。どのような技術かと言いますと!

当初、水(H2O)を電気分解して水素(H2)を取り出して炭酸ガス(CO2)と合成し、メタンを製造していました。これをサバティエ反応と言います。この方法ではエネルギー変換効率が55~60%と非効率なため、高いコストがかかります。そこで考え出されたのが、SOECメタネーションという方法です。再生可能エネルギーの電力を投入して、水蒸気と二酸化炭素からメタンをつくります。この方法は、サバティエ反応が水素を必要とするのに対して、製造過程で水素の調達が不要です。さらにメタン合成時の廃熱を有効利用した高いエネルギー変換効率(85~90%)を実現するので、運用時には現在の都市ガスと同じ価格で供給できることを目指しています。この装置は、2025年の大阪万博会場で、実験的に運用されることになっています。私たちの家庭に供給できるようになるのは2040年から2050年ごろとなる見通しですが、カーボンニュートラル(排出と利用がイコール)を実現できる技術なので、一日でも早く実用化できる日が来ることを祈る気持ちで見学を終えました。

Carbon Neutral Research Hubでは、水素やアンモニアを供給するための研究も進めておりますが、その紹介は、またの機会に…。

参考資料:SOECメタネーション
https://www.daigasgroup.com/rd/topic/1310181_53539.html

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