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ウィズコロナの1年を振り返って

こんにちは。健康生活アドバイザーのだんごママです。

コロナ感染拡大阻止のため、感染予防対策・行動制限が当たり前だった1年が終わりを迎えました。ステロイド薬や抗血栓薬投与の対処療法から予防のワクチン接種へと進み、ベクルリー、ロナプリープなどの注射による治療薬が承認され、緊急事態宣言解除へとつながりました。ワクチン接種も3回目が始まり、コロナ以前の生活に少し近づいてきた気がしています。

コロナの脅威に立ち向かうために、病床と人の確保に注目が集まっていた陰で、医薬品供給停止や出荷制限の通知が頻繁に医療機関に届き、乳がん患者や慢性心不全患者の命の危機に直結する事態になっていたことをご存じの方は少ないと思います。

医薬品の集荷制限が増えた要因は、3点に絞られます。まず1点目は、ジェネリック医薬品製造大手2社による医薬品製造過程でのずさんな管理による業務停止命令や出荷停止。それに伴う各企業の自主点検での不正発覚による自主回収です。2点目は、コロナ感染拡大のために海外で原薬が製造できずに輸入停止。2019年に海外から原薬が輸入できずに国内市場の60%以上を占めていたセファゾリンナトリウム注射液の集荷停止は、他の抗生剤の出荷制限にもつながり、いまだに尾を引いています。3点目は、コロナ感染症流行による急激な需要増です。免疫抑制効果のある副腎ホルモン剤のデカドロンや透析に使われる抗凝固薬のナファモスタット。エクモを回すために必要な麻酔薬のプロポフォールはコロナ重症患者を治療している病院に優先的に供給されたため、コロナ重症患者を受け入れていない病院では、代替品でさえ在庫を心配しながらの治療となりました。

医薬品は国が薬価を決めるため、製薬会社も思うように収益があがりません。そのため在庫量を調整し、2~3年先までの生産計画を立て、予想される需要ぎりぎりに製造しています。そのため、コロナのような急激な需要増加や、業務停止などによる供給停止が起こったときも増産体制にシフトすることができず、必要な医薬品が手に入らない状況になります。代替品の選定や新たな取引先を検討しても、メーカーは今までの取引先を優先するため、病院や薬局は情報収集や処方変更に時間を費やすことになります。患者さんにとっても、突然、治療薬の変更や中止を言われ、薬剤師として納得してもらうしかない状況に心苦しくなることもあります。

2021年は、少しのきっかけで必要な時に必要な物を手に取ることができず、当たり前だと思っていたことが普通ではなくなることを気づかせてくれました。タイミングよく、世の中はSDGsを推し進めようと動いています。そのなかに、「すべての人に健康と福祉を」という項目があります。COVID-19もそのうち歴史となるでしょう。次のパンデミックが起こったときは、すべての人が不安に思うことなく生活できる社会になっていてほしいと思います。

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