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78についてのお話

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                    2021/01/15 第605号
        ☆★☆ TIPS通信 ☆★☆
     ▼消費生活アドバイザーの知恵が満載▼
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【 78についてのお話 】

こんにちは。身近な数字のアドバイザーのナカナカです。
今回の数字は78、「なっぱ」、葉野菜、特にキャベツについてのお話です。

新しいウイルスが全世界を覆った2020年が暮れました。新しい年を迎えてもなお、まだ出口の見えない不安と感染におびえる日々が続いています。

ただ、コロナ禍にあって幸いだったのは、ここ数年各地に大災害をもたらした台風が、昨秋はほとんど日本列島に被害を及ぼさなかったことです。気候が安定したおかげで葉野菜の収穫が順調で、鍋料理に欠かせない白菜、ネギが比較的安く手に入りました。8月には猛暑と降雨量の不足から1玉300円以上だったキャベツも、12月には100円ほどで購入できました。

さて、総務省統計局のサイト「なるほど統計学園」によると、7月28日を「菜っ葉の日」としています。「7」「2」「8」を「なっぱ」と読む語呂合せと、菜っ葉を食べて夏バテを防ごうというねらいから「菜っ葉の日」となったそうです。そして、家計調査では、主に葉と茎を食用にする野菜のことを「葉茎菜(ようけいさい)」として分類し、「キャベツ」「ほうれんそう」、「はくさい」、「ネギ」「レタス」「ブロッコリー」や「もやし」などについて、市町村ごとに家計支出の金額と消費量を調査しています。

調査結果によると、1世帯当たりのキャベツの年間購入数量(g)のランキングは秋田市の20,929gが1位で、大阪市は17,954gと19位でした。(2017年~2019年の平均)
キャベツをたっぷり使う「お好み焼き」で有名な大阪の順位が低すぎるのではと感じたのですが、この調査は一般家庭の二人以上の世帯を対象としていて、業務用のキャベツ購入数量が反映されていないことに気が付きました。

ちなみに、自宅にあるキャベツ1玉の重量約1,400gを基準に計算すると、大阪市の二人以上の世帯では1年間にキャベツ12.8玉を購入したことになります。わが家は二人暮らしで、半分にカットしたサイズのキャベツを購入することも多いのですが、ほぼ常備している野菜なので、年間約13玉、月1玉強という統計数字は実感より少なく感じます。皆様はいかがでしょう。

さて、日本では年間600万トン以上の食料が捨てられています。国民一人一人が「もったいない」の意識を高め「食品ロス」を削減しなければなりません。野菜も当然無駄なく食べきることが重要です。

私は、食べきれる量を見極める「リデュース」の観点から2分の1玉のキャベツを買うことが多いのですが、価格が安い時には1玉購入し、サラダに鍋にと、多種の総菜に活用する「リユース」をしています。とりあえずメニューが浮かばない時には丸ごとゆでて冷蔵保管し、おひたしやロールキャベツに「リサイクル」と、3Rへの取り組みを心掛けています。

一方、野菜の生育が順調すぎることによる「産地廃棄」がしばしば話題にのぼります。価格が安すぎて流通させる経費に見合わない生産農家にとって、白菜やキャベツを畑にすき込む行為は一番経費が少ない方法だそうで、「もったいない」ことを承知で廃棄せざるを得ない生産者の事情もわかります。

しかし、そんな廃棄野菜を有効利用したすごい研究が神奈川県水産技術センターで行われていることをご存知でしょうか。規格外で流通できないキャベツを食べさせた「ウニ」の養殖です。神奈川県沿岸で発生する「磯焼け」の原因生物のひとつとして除去の対象になっていたムラサキウニに、キャベツ、大根、ブロッコリーなどの野菜を食べさせたところ、身が大きく、おいしいウニになることが分かりました。特に、三浦半島名産のキャベツを食べさせたところ、甘み成分のグリシン、アラニン含量が最も多くなったそうで、「磯焼けの原因物質であるムラサキウニと、規格外で流通しないキャベツの有効利用による、新たな地域産品(キャベツウニ)を創出する可能性がでてきた。」と、2020年6月に研究者の臼井さんは書いています。
地球環境に配慮したキャベツ味のウニ、市場に出回る日が待ち遠しいですね。

◆参考資料
・家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2017年(平成29年)~2019年(令和元年)平均)
・農林水産省「野菜の産地廃棄に代わるアイデアの公募について」
・神奈川県水産技術センター
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/a2d/cnt/sciencelab/2020suisangijyutu1.html
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