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76についてのお話

こんにちは。身近な数字のアドバイザーのナカナカです。
今回の身近な数字は76。昨年一年間に生産された清涼飲料水の容器を調べた結果、全容器に占めるペットボトルの割合が76%だったという報告についてのお話です。

全国清涼飲料連合会がまとめた「全清飲2021活動レポート」によると、2020年の清涼飲料水の容器別生産量はペットボトルが76%を占め、次に生産量が多い「缶」の11%を大きく上回っています。なぜペットボトルのシェアが圧倒的なのか、清涼飲料水の話題をからめてお伝えします。

清涼飲料水と聞いて私が思い浮かべるのは、炭酸飲料、ミネラルウォーター、スポーツ飲料などですが、生産量が最も多い品目は「茶系飲料」でした。お茶が清涼飲料に分類されることも意外でしたが、「茶系飲料」の中でも緑茶飲料が麦茶飲料の4倍も生産されていると知ってさらに驚きました。

かつて業界には、緑茶は急須で入れて飲むものでペットボトル入りの緑茶は売れないという常識があったと聞いたことがあります。今や飲料メーカーが競って緑茶飲料を販売しているのですからわからないものですね。しかし、緑茶飲料はおおむね黄色がかった茶色の液体で緑茶色ではありません。ペットボトルで長期間保存することを前提に「火入れ」を強めにした茶葉を使うと緑色を残すことが難しいそうです。

飲料メーカーとしては緑色のペットボトルを使いたいところでしょうし、かつては色付きのボトルも存在したようですが、今はリサイクルしやすいように透明なボトルが使われています。緑のラベルに緑のキャップ、和をイメージさせる商品名で私達に「緑色のお茶」を飲んでいる錯覚を起こさせるのが、メーカーの戦略なのでしょう。

しかし昨年4月、あるメーカーから抹茶色を残すことに成功したとする緑茶飲料がリニューアル発売されました。ペットボトルのラベルをわざわざ外して中身の「緑色」を強調するテレビCMは、ボトルが透明であることを逆手にとっています。メーカーの意気込みはともかく、ラベルを外して陽にかざしたその飲料が私には緑色というより美しい黄色に見えてしまい、自分の目の悪さを嘆くべきかメーカーの強引さを嘆くべきか悩むこのごろです。

さて、缶、びん、紙などの容器に比べて、ペットボトルの使用割合が圧倒的に多いのはなぜなのでしょう。ペットボトルの魅力についてあらためて考えてみました。

ペットボトルの容器としての魅力はなんといっても軽さと強さです。現在市場に出回っている500ミリリットルのボトルはキャップを含めて25~30グラム、ガラスびんの10分の1程度の重さでありながら落としても割れません。缶や紙パックも軽いのですが、落とすと変形することがありますね。ペットボトルは透明で、キャップがついていることも魅力です。中身を確認しながら何度も開け閉めできるので、一気に飲み干さなくてもいいのが助かります。

私自身の体験を述べれば、プルタブを強く引っ張った勢いでコーヒーがあふれ、周囲を汚すことが多かった缶コーヒー。キャップ付きが登場していますが透明というわけにはいかず、飲み残した量までは分かりません。また、小さい紙パック入りの果汁飲料なども手軽で好きなのですが、顔面マヒを経験した今はストローで飲み物を吸い上げることができなくなってしまいました。
軽くて丈夫で飲み物を少しずつ楽しめるペットボトルは、年を重ねた人間に優しい容器と言えるかもしれません。そういえば、微妙に持ちやすい形状なので水を入れて筋トレの負荷として、また、キャップをスプレーアタッチメントなどに変えて掃除用にも園芸用にも、ペットボトルには随分お世話になっています。

ペットボトルは加工がしやすく形やサイズを変えることができる上、耐熱性、耐圧性、耐熱耐圧性など、中に詰める飲料によってさまざまな性質を備えた容器を提供できる点も容器市場のシェアを伸ばしている理由です。炭酸飲料用、ホットドリンク用など用途によってさまざまな種類がありますが、外見は透明で見分けるのが難しいため、使用済みのペットボトルを繰り返し使うときには注意が必要です。一般的なペットボトルに炭酸飲料や熱い飲み物を入れると危険ですから、もとの飲料と同じ性質のものを入れるようにしましょう。

プラスチックに向ける目が厳しさを増す現在、「ペットボトルよりマイボトルを!」というご意見もあると思います。しかし、ペットボトルにはリサイクルしやすく環境に優しいという魅力もあるようです。そんなリサイクル事情については、次の機会にお伝えしたいと思います。

一般社団法人 全国清涼飲料連合会
http://www.j-sda.or.jp/
東洋製罐株式会社「ペットボトルのお話」
https://www.toyo-seikan.co.jp/kids/what_petbottle.html

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