安くお試しのつもりが・・・

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                    2020/01/17 第553号
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【安くお試しのつもりが・・・】

こんにちは。旅のアドバイザーのさくらです。
今回は臨時号として、定期購入の消費者トラブルのお話です。

スマートフォンやパソコンの検索サイトなどで、「SNSで話題のダイエットサプリ お試し500円」「今なら初回送料のみ」という広告を見たことありませんか?
定価数千円から1万円近くするサプリメントや美容液が、低価格でお試しできるというものです。
年末年始で少し太ってしまったという人にとって、ダイエットサプリが1か月分500円で試せるとしたら、興味がありますよね。しわやシミに効果があるという1万円の美容液が千円以下で使えるとしたらどうでしょう。使ってみて効果がなくても数百円であれば惜しくないと思ってしまいませんか。
実は、このようなお試しのネット通販でのトラブルが多発しています。

一番多い事例は、1回だけのお試しのつもりが、実は複数回購入することが条件で、2回目以降は価格がぐんとUPし、途中でやめたくてもやめられないというものです。消費生活相談の現場では「定期購入」と呼んでいます。
500円で終わるつもりが、複数回合計で1万円以上を払わないといけないケースも多いです。ひどい業者では、初回の1袋14日分は送料のみですが、10日後くらいに4ヶ月分の商品と4万円近い請求書を送ってきます。サイトの購入条件や利用規約を見ると、初回は送料のみで、その10日後に2回目として4ヶ月分を送る、合計2回以上の購入が条件で、2回目までを支払えば、それ以降は解約可能、返品は受けないと書いてあります。
しかしトラブルに遭う人は、お得な広告にばかり目が行って、他を読み飛ばしたり、利用規約や返品規定などを読まなかったようです。
通信販売にはクーリングオフ制度はありませんし、原則利用規約等に書かれていることに同意して申し込みをしているので、あとで気が付いても遅いのです。

他には、回数の縛りはないが、やめたいときは電話で次回発送予定日の10日前までに連絡しないといけない、連絡がない限り定期的に発送するというものですが、何度電話しても「ただいま混み合っています」とアナウンスが流れて、やめたいと申し出ることができないケースもあります。

また、ダイエットサプリを飲んだら下痢をした。美容液などの化粧品を使ったら、かゆみや発疹が出たという危害の事例もあります。健康被害が出たので定期購入を中止したいと申し出ても、医者の診断書を出せば検討すると言われたり、利用規約をたてに、あくまでも約束した回数は購入してもらうという事業者もいます。

このような定期購入のトラブルは数年前から増加しており、国は通信販売を規制している特定商取引法の施行規則第8条第7号で、通信販売の広告に表示する事項として「商品の売買契約を二回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び金額、契約期間その他の販売条件」を規定しています。

消費生活センターで相談を受けた場合、サイトの広告画面や最終確認画面にどのように書いてあるか確認するのですが、ほぼ規定通りの記載があります。
この場合、見落としたことを理由に一方的に中途解約をするのは難しいです。

トラブルに遭う年代は、10歳代から70歳以上までと幅広く、しわやシミに効く化粧品やサプリメントを60歳代の男性が契約したケースも少なくありません。スマートフォンがどの年代にも普及してきたこと、TwitterやInstagramなどのSNSアプリへの広告が増加していること、年齢や性別に関係なく、痩せたい、美しくなりたいという人が増えたことが背景にあると思います。

安い、お得には、それなりの理由があります。お試しの数百円だけで皆にやめられると事業者は赤字ですから、利益を出せる何らかの工夫をしているはずです。自信があれば初回のお試しのあとも購入してもらえるはずだと主張する人もいますが、そもそもサプリメントや化粧品は2週間や1か月で劇的に効果が実感できる性質のものではありません。医薬品以外で薬効をうたうことはできませんし、特定保健用食品(トクホ)でも消費者庁の許可を受けた内容についてのみ、○○が期待できるという表記が認められるだけです。

SNS上のアフィリエイト広告から、事業者のサイトにリンクが貼ってあり注文する流れが多いようです。効果をうたう広告には要注意。安い理由は何か? 本当か? という疑いの目を持って、利用規約や返品規定を確かめてから注文することでトラブルは減らせます。
注文確認画面や広告画面を印刷したり、スクリーンショットを撮って証拠を残しておくことも大事です。
ネット通販は、いつでも簡単に注文できます。数百円のお試しを見つけて得したと思っていたら、あとで数万円の請求を受けて泣く羽目にならないように、ポチっとするまえに隅々まで確認する習慣をつけたいですね。

<参考サイト>
■国民生活センター
相談激増!「おトクにお試しだけ」のつもりが「定期購入」に!?-解約したくても「解約できない」、「高額で支払えない」
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20191219_1.html
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