教育×学びの組織|「語る」のがたのしい時間
誰だってきっと、自分がワクワクすることは大好きだ。
子どもたちは、休み時間だって授業時間だって、たのしいことには目がない。だから、彼らは「学習がたのしくなる瞬間」を味わうのも天才だ。
ところで、小学校の学習指導要領では、小学3年から接続詞(以下「つなぎ言葉」)を学習するが、それ以前から子どもたちは日常の中でつなぎ言葉を使っている。小学2年で学習する「まず」「つぎに」「それから」「さいごに」といった順序を表すつなぎ言葉や、「だって」「そういえば」といった話し言葉として現れるつなぎ言葉。教科書以前に、児童絵本にたくさん出てくるのだ。
そのようなつなぎ言葉を、子どもたちがたのしく使いながら語るのに最適なアイテムが、国語辞典の横にあったカードゲームのカタルタだった。
カタルタとは、語りを遊びに変えるプロダクトで、トランプに「どうやら、」や「夏になると、」等のつなぎ言葉が書かれている。
最も簡単な遊び方は、複数人で行うリレー形式でのお話づくりだ。始まりの一文(例「あるところにおじいさんがいました」等)や、語る順番、めくる枚数を決めたら、最初の人は始まりの一文を読み上げる。順番にカードをめくって語り、代わりばんこにストーリーをつないでいく。
想像豊かな子どもたちは、どこかで聞いた昔話を作り替えたり、突拍子もない表現をしたり、話があっちこっちへ取っ散らかったり。またそれがおもしろく、仲間がつくった一文に笑い転げながら休み時間が終わるのだ。
そのカタルタ自体は私の私物であったが、国語辞典の横に置こうと思いついたのは子どもたちのアイデアだった。雨の日の休み時間にヘンテコストーリーをつくったり、物語文や作文を書くときに「先生、カタルタを見ながら考えてもいいですか?」と思いついたり。何がきっかけであれ、「語る」のがたのしいと感じられる瞬間がいくつもあった教室だった。
そんな風景をふと思い出した金曜日。