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石原路子さんのテディベアによる、エドゥアール・マネ作「菫の花束をつけたベルト・モリゾ」の再現

表題の画像は、伝説のテディベア作家・石原路子さんによる作品で、我が家に最初にやってきたテデイベアの個体です。石原さんの代表作で、幾度か展示会に出品されていましたが、“就職先”が決まらずに、月日を経て、筆者と出会いました。

大きな目・鼻と引き締まった口元が特徴で、白い体毛の中の、いくつかのうっすらと青みがかったグラデーションが、職人技の域を超えた、石原さんが細部にこだわった芸術的表現を暗示しています。

そんな思い入れのある作品が、大きな目で世界を凝視しているのを観ていると、印象派の巨匠、エドゥアール・マネによる肖像画「菫の花束をつけたベルト・モリゾ」が思い浮かびました。

マネによる肖像画のモデルとなったベルト・モリゾは、名門の芸術家一族の出身で、自らも印象派を代表する画家でした。後に、マネの実弟ギュスターヴ・マネの妻となっています。マネとは、お互いを敬愛していました。

エドゥアール・マネ作「菫の花束をつけたベルト・モルゾ」*1872年 個人蔵

肖像画は、黒衣を身につけ、前方を見つめる大きな強い瞳が印象的です。目にハイライトが描かれていないのにもかかわらず、生気が感じられるのが、マネの並外れた表現力です。鼻筋が真っ直ぐで、口元も少し力が込められて引き締まっていて、内面にある強固な意志が伝わってきます。

肖像画をテディベアで再現するにあたり、テディベアにちょっとだけ、しつらえをしてみました。ベルト・モリゾの胸元を飾る菫(すみれ)の花束の代わりに、山本薫さんによる鳥をモチーフにした紫の陶製ブローチで、テディベアの胸元を飾ってみました。

石原路子・作 テデイベア 2020年

この空気感はいかがでしょうか?


*朝日新聞出版・編:マネへの招待. 朝日新聞出版. 2019, P62


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