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海野千尋さんの創作人形によるエドゥアール・マネの絵画世界の再現

海野千尋さん作の創作人形、「ほんのり桃色のお嬢さん」が我が家にやって来たので、早速SNSデビューしてもらうことにしました。題材に選んだのは、エドゥアール・マネ最晩年の傑作、「フォーリー=ベルージュのバー」です。

フォーリー=ベルージュは、パリのミュージックホールで、多彩な催しもので人気を博していました。本作品の舞台は、その一角にあったバーです。

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エドゥアール・マネ「フォーリー=ベルージュのバー」1882年1)

芸術家の森村泰昌さんは、自身が扮したセルフポートレートによって、絵画の登場人物になりきることで、表現の本質に迫ろうとする探求者です。森村さんが「フォーリー=ベルージュのバー」のバーメイドに扮して絵の世界の再現に挑んだところ2)、絵画に描かれているバーメイドは、実際の人間のプロポーションよりもはるかに腕が長く大きいことがわかりました。

女性は下積みの女優で、バーで働きながら未来の成功を夢見ている。長く大きな腕は、過酷な運命に抗って夢を叶えようとする、女性の強い意志を表しているのではないか、と読み解きました。

ほんのり桃色のお嬢さんも、腕が大きく長く作られているので、最初のデビューは、このバーカウンターに立つ女性に扮してもらうことにしました。

まず、バーカウンターには、白いプラスチック製のティシュ・ボックスを用いました。バーカウンターの上の酒瓶は、古道具屋・ウームブロカント倉敷で見つけた、ダイアモンドゲームのピースを転用します。花は、陶芸家、木村知子さんによる、小さな花の磁器で表現します。器に盛られたオレンジは、ハイジさんによるフェルト製のブローチ「みかん」で代表しました。

絵では、バーカウンターの背面は、鏡に写った世界として描かれています。鏡に映った観客達は、海野千尋さんによる黒いドレスの女性をかたどった陶器のベルで代表しました。鏡に映った女性の後ろ姿は、白いベルで表します。同じく鏡に映った、女性と向かい合っている黒い帽子と黒服の男性客は、藤原加寿子さんの黒釉しのぎの一輪挿しで表現しました。

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この空気感はいかがでしょうか?

ほんのり桃色のお嬢さんのデビューを楽しんで、祝福してもらえたら幸いです。

最後は出演者全員そろって記念撮影です。

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1)エルンスト・ヴェーゲリン・クラークベルゲン・他著:コートールド美術館展 魅惑の印象派. 朝日新聞社, NHK, NHKプロモーショ. 2019 , P169より引用

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2)テレビ東京:新 美の巨人達 「フォリー=ベルージュのバー」. 2019年10月12日(土)22:00〜22:30放映


追伸

ロンドンにあるコートールド美術館が誇る印象派作品群が来日し、2019年9月20日より東京都美術館を皮切りに、名古屋、神戸と全国3カ所を巡回しました。もう二度と実現しないであろうと言われている企画でした。しかし、筆者はこのたびの感染流行のために本物を観ることを果たせず、悔しい思いをしました。せめて図録だけでもと入手し、こうして活用することで、少し思いを晴らせた次第です。



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