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三宅智之さんの彫刻作品

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三宅智之さんの作品紹介記事をまとめてみました。
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記事一覧

ヨシダコウブンさんと仲間達13〜広島県尾道市のカフェ「ありたや」にて〜

「ありたや」は、2023年3月に広島県尾道市の郊外で、古民家を改装してオープンしたカフェです。古きよき田舎の風情に包まれて、現代的・都会的なオリジナルのカレーとピザが楽しめる非日常空間です。店内のゆったりとしたスペースでは、しばしば芸術家や工芸家の展示会が企画されています。 今回は、ヨシダコウブンさんをはじめとする、12名の作家による開店1周年記念展「ソレゾレのシゴト」が開催されました(2024年3月23日~31日)。 画像は、最終日に作家のみなさんが揃って記念撮影をされ

入川家のひな祭り〜並立する別界との交流〜

現世界では、ひな祭りが近づいて来ました。チハルさんバリさん夫妻の入川家では、3年ぶりにおひな様を飾るそうです。 チハルさんとバリさんの個展会場は、ピンクの作品に包まれていました。 すると、なんということでしょうか!時空の割れ目から突然、隣り合っていた別世界が開け、そこはひな祭りの当日でした。 さらに、その隣の異界でもひな祭りの真っ最中でした。 少し遠くに目をやると、木の妖精の国、岡山市の三宅木工房もひな祭りたけなわです。 さらに、隣り合った抽象世界でもひな祭りが執り

三宅木工房の雛人形における記号性と言語性

画像は、岡山市の三宅木工房による雛人形です。無垢の木を使って、抽象的な雛人形を表現しています。 従来の、きらびやかに装飾された、いにしえの男女像をかたどった、具象的な雛人形と異なり、時空を超越した男女が抽象表現されていますので、記号として扱うことができます。 人が使う記号体系の代表的なものは、「言語」です。言語は、記号の関係性(文法・文脈)のなかで意味を生成します。言語は、記号をある制約のなかで自由に組み合わせて、無限の意味を生み出すことができます。さらに、言語は、現実世

三宅木工房・三宅智之さんによる、ひな人形の造形〜しとやかな木の生気の発露〜

岡山市の三宅木工房、三宅智之さんによる、ひな人形の造形です。 木のもとの形を生かして、浅く彫られています。色も木と同系色で、草木染めのようにやさしく淡く着色されています。 側面も、彫りが浅く、のっぺりしています。 造形の真骨頂は、背中の表現にありました。後ろから観ると、浅く彫ってあるのに、内裏びなの結った髪の生え際が、くっきり鮮やかに輝いて、早春に咲く白梅の趣です。雛は、束ねた髪が、小さく、かわいらしく躍動し、春の小川の流れのような生命感を帯びています。 本作は、木の声

ヨシダコウブンさん一家 奈良へ行く

ヨシダコウブンさん一家は、友人の世界的な絵本作家、こしだミカさんに会いに奈良に行きました。 再会の場所は、奈良県立美術館で開催されていた、こしだミカさんの絵本展の会場でした。 画像は、展示会場でのスナップです。 イマリさんとお友達が、自販機の壁掛けの前で「はい、ポーズ」です。 最後に、こしだミカさんを囲んで、記念撮影です。 ・・・実は、会場の時空は、多重世界になっていました。異世界のヨシダコウブン&ヤマイチアツコ・ワールドはこちら・・。 二つの世界を往き来して、二

我が家の芸能事務所の子役達のデビュー

画像の三体の陶布人形は、2022年にいっしょに生まれました。 コンセプトは、寄宿舎学校のクラスメートです。海野千尋さんによって同じ土の塊から創造されたので、三つ子のような存在です。 2022年12月、三体は、我が家の芸能事務所に同期入社しました。 二体は、入社してすぐにデビューが決まりました。入川家を舞台としたホームドラマに抜擢されたのです。 それぞれ、入川家の娘カンナ役、息子ウタ役として出演しました。 しかし、残った一体は、なかなかデビューが決まりませんでした・・

最近仲間に加わった森博敬さんの「月占い」と、三宅智之さんのシロクマと、山本薫さんの水差しです。月占いは3つの宝石で1週間の運勢を占います。水差しには3本のチューリップを生けました。3要素のある3作品で調和のとれた美しい世界ができました。3にまつわるシンクロニシティにびっくりです!

ヨシダコウブンさんの造形作品と京都大原三千院・阿弥陀三尊との表現の一致性

広島県福山市在住の総合芸術家、ヨシダコウブンさん(表題画像)から、岡山市のクレド岡山にある伝説のセレクトショップdouce(ドゥース)に「神聖なケモノ・シリーズ」の新しい作品が送られてきました。douceオーナーの迫田美加子さんが荷物を開封すると、作品の中に、しっくりと展示できないものがありました。うつむいて地面を探索しているようなケモノが2体あったのです。 迫田さんはしばらく考えて、2体のケモノを起こして、ひとまわり大きいケモノと一緒にして、3体を並べてみました。 する

三宅木工房、三宅智之さんによるシロクマの造形

岡山市にある三宅木工房の、三宅智之・隆恵ご夫妻は、家具や日用雑貨の製作の傍ら、無垢の木を使ったアートフルな作品を製作されています。 画像は、三宅智之さんによるシロクマの造形です。 無垢の木の元の形を生かして、削り込み、彫り込み、は最少限にして、彫刻刀の刃のあとを残した、素朴な仕上がりになっています。 像を前および横から見たポイントは、浅いが、しかし、像で最も深く刻まれている顎の造形です。 顎は、最少限度の削り込みで造形されていて、水平な頭部と相まって、神妙に顎を引いてい

三宅木工房、三宅智之さんによるシロクマの造形2

筆者は、三宅智之さんによるシロクマの造形を3体所蔵しています。 3体のうち、2体はとてもよく似ています。正面から見た感じも、背中の表情もほぼ同じです。 ですが、横から見た造形は、随分と違っています。 左側のシロクマはずんぐりしていて、腕を軽く曲げ、顎を引いていて、神妙かつリラックスしている感じです。 右側のシロクマは、ややスリムで、腕を伸ばしてぴったりと体側に着けていて、顎が上がっています。緊張して力んでいるのが伝わってきます。 腕のしぐさや顎の緊張は、材料のシナの

アメデオ・モディリアーニによる肖像画の記号性〜三宅智之さんによるシロクマの彫像への投影〜

大阪中之島美術館(表題画像)は、構想から40年の年月を経て、2022年2月に悲願の開館が成就しました。それを記念して、初の特別展「モディリアー~愛と創作に捧げた35年~」(2022年4月9日~7月18日)が開催されましたので、出かけて来ました。 アメデオ・モディリアーニ(1884~1920)は、パリで活躍し、わずか35歳で夭折した画家です。貧困・病・荒廃した生活と、一方で妥協のない芸術家精神とに彩られた劇的な生涯で、他の誰にも真似のできない独自の肖像画を生み出しました。