記憶切断装置①
不思議な夢を見たので
忘れないうちに書いてみる。
※※※
何でも、
「ソレ」を受けると
人生が変わるらしい。
そんな話を耳にした。
そして
人生が激変するといわれている
ソレを受けるのは
かなりの高額、とも。
ある日、私は
なぜか「ソレ」を受ける機会に恵まれた。
6帖くらいの洋室で
全体的に白い壁。
これといったものはなく
ただ空間があるだけな部屋。
窓から射す光が
薄暗い部屋に明るさをもたらしていた。
気がついたとき
私は椅子に座っていて、
手のひらサイズの薄い金属の板を手にした
男が目の前にいた。
男は、
カールした
シルバーグレーのひげを持ち、
時々黒色が混じっているが
髪も同じような色をしている。
「わっ」
「ひっ」
言葉にならない声を心の中でさけんだ。
男は、
私が叫んでいるのを知ってか知らずか
ニコニコしながら
でも無言で
その銀色に光る金属の板のようなものを
私の頭に
スッと刺していく。
金属が頭の中に入る瞬間
板は光を放つ。
「ひゃ!」
心の中で叫んで
私は怖くてぎゅっと目をつむる。
あれ?
金属の板は、
私の頭にスッと入るのだが
ちっとも痛くない。
その男は
3ヶ所ほど
私の頭やら首やらに
その銀色の金属板をスッスッと刺した。
それで終わりらしい。
え?
これだけ?
痛くも痒くも
そして
金属板を頭に刺された感覚さえないくらい
あっけなかった。
見ていたから
刺されたと分かっているけど
寝ているときにされたら
絶対気づかないレベルだ。
こんなんで人生変わるの?
半信半疑で私はその場を離れた。
続く。
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