無題

ゴムゴムのお手洗いさん

わたしは、おばあさんトイレのイ子です

もう23年近くも働いています。

もう寿命が近いと思います。

この家に来た時には、新品でピカピカでした。おうちも新品で住んでいるいる人たちも若くて元気でした。

二人の姉妹が住んでいましたが、お友だちが毎日のように来て、いろんな人がわたしを使ってくれました。

何年かして、若い男の子がいっしょに住むよう担って、男性に使わっれるのは初めてだったのでドキドキしました。

おうちの人たちも楽しそうでした。男の子は二人の甥っ子で、学校に行くためにこの家に下宿したのでした。

甥っ子ちゃんはわたしの上に座って、本を読んだり音楽を聴いたり楽しそうでした。

それから何年かして甥っ子さんは実家に帰っていきました。

それから妹が病気になって、わたしのまえに可動式の手すりが付きました。

時の流れは速いもので、わたしも二十歳を過ぎました。耐用年数をはるかに超えて働いたので、便座の中で、ゴムが緩んできました。

ゴムは隙間を探して流れ出しました。

わたしは、もう寿命です。

早く交換してください。ゴムはわたしの涙です。

お別れの日が近いのです。


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