春が来ました。
ハナニラに、亡き友が顔、重ね見ぬ。
昨日、ハナニラを見つけました。
白い花も青い花もかわいらしくて、車椅子から、嬉しそうに見つめていた亡き友を想い出します。
恵子さんといいます。妹も恵子です。
恵子さんは不思議なひとでした。
永遠の乙女で、年齢不詳でした。レースやフリルのピンクや白やクリーム色のブラウスがよく似合いました。
車椅子なので、下は介護しやすいゴムのズボンでしたが、いつもフランス人形のようにかわいらしく座っていました。
靴下はレースでバレエシューズがよく似合いました。
にっこり笑顔で怖いことを平気でいうのです。
「ねえ、私名古屋に行きたいのよ、いっしょに行ってくださらない」
「えっ、きょうお会いしたばかりですけど! 私、車椅子はヘルパー講座で一度習っただけなんで、外の道なんて無理です」
「大丈夫よ、介助方法は私が説明するから。ねッ!」
と、笑顔でいわれると、魔法にかかったように断ることができないのです。
こうして、知り会って一か月で二泊三日の名古屋旅行に行ってしまいました。
お風呂介助も食事介助もトイレ介助も初めてで、帰ってきたらよれよれでした。
ほんとうにいろいろ鍛えられました。
おかげで、妹が車椅子になってもあんまり焦りませんでした、が妹は恵子さんよりもっと大変でした。
ときどきの介護と毎日では疲れ方が違いますね。
でも、恵子さんとの二十数年が妹の介護を支えてくれているのは確かです。
頑張りますから、空から見ていてくださいね。
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