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inspired books - 本を読んで考えた

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読んだ本の感想。それより本を読んで得たインスピレーションや考えたことなどを書いてます。本の要約はしてません。あくまで自分の考えを中心に。
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記事一覧

組織を全速前進!させるビジョンのつくり方を学べる本 『ザ・ビジョン』

組織で働く一人ひとりがエネルギッシュにワクワクと仕事に向かうことで、その組織のパフォーマンスは大きく引き出されます。そんな組織を作る上で欠かせないのが「ビジョン」であり、その作り方を記したのが本書です。 本書はストーリー形式で書かれており、38歳まで子育て一筋だった女性エリーが保険会社で働くことになり、そこの社長ジムとの対話を通じてビジョンを学び、会社と人生を変えていくというお話です。 ビジョンのような曖昧なものを、一体どのように考えればよいのか、どうすれば活用できるのか

コミュニティ思考はこれからの組織経営の指針へ 『「コミュニティ」づくりの教科書』

「これからのビジネスで重要なのはコミュニティづくりだ」という言葉を聞く機会が増えました。とはいえ、コミュニティって一体なんだろうか、どうしたら良いのか、そうした疑問に全て答えてくれるのが本書です。 常々、会社というのは安心安全の場であり、それはチームというよりも、むしろコミュニティに近いのではないか、と考えていました。コミュニティをつくるように会社を経営してきました、 そんな私にとって、本書を読んだことで、その思いはますます確信になっていきました。これからの組織経営に携わ

強いチームの文化はどう作るのか『THE CULTURE CODE 最強チームをつくる方法』

成果を出すチームを作りたいと、マネージャやリーダーなら誰もが思うことでしょう。そのために必要なのは優秀な人材と、強力なリーダーシップだと考えているかもしれません。しかし、本書の主張は違います。 成功しているチームに共通しているのは「文化」だというのです。そして、その文化は自然と生まれていくものではなく、社交を司る脳の部位を活用した3つのスキルだと主張しています。 それが「安全な環境をつくる」「弱さを見せる」「共通の目標を持つ」です。本書では、それぞれについて軍隊やプロスポ

ボランティア組織から学ぶティール組織 『西條剛央 チームの力』

本書は「クジラではなく、小魚の群れになろう」をキャッチフレーズにした「ふんばろう東日本支援プロジェクト」を立ち上げた西條さんによる、組織論チーム論について書かれた本です。 構造構成主義という、物事の本質からなる原理を把握する学問をベースに、様々な原理と哲学をもってチームビルディングを行ったことを、原理の観点と実践の観点の両方から書かれています。 本書で登場する「ふんばろう」の組織は、自律的に動くチームになったと書かれている。タテ組織で統率をとるのではなく、個々が判断して助

ザツダンとオープンさが働きやすい会社をつくる 『山田理 最軽量のマネジメント』

サイボウズさんの経営と働き方は、非常にシンパシーを感じていて、社長の青野さんとは何度か対談もさせて頂いたり、青野さんの書かれた本も読んでいたので、よく知っていました。 今回はサイボウズ副社長の山田さんが書かれた本ということで、青野さんの本とは別の観点からのマネジメントを知れる本になっています。 銀行員からのITベンチャーへの転身、ブラック企業からの働きがいのある会社への転換など、大きな変化を身をもって体験されてきた話は非常に面白いものでした。 マネージャの仕事はザツダン

経営の仕事はチームで出来るのか 『山下淳一郎 ドラッカーが教える最強の経営チームのつくり方』

マネジメントに関わる仕事をしている人でドラッカーのことを聞いたことのない人はいないでしょう。本書では、ドラッカーの言葉を引用して、経営をチームでやることを説いています。 経営という非常に難しい仕事を、たった一人で立ち向かうのではなく、チームでも出来る、むしろチームでやって良いんだと再確認できた本でした。 ちなみに、分量も少なく、日本語もわかりやすく非常に読みやすい本です。 経営をチームでやることトップマネジメントするチームをつくる。トップマネジメントという言葉から、どう

『菊原志郎・仲山進也 サッカーとビジネスのプロが明かす育成の本質』

経営の仕事をしている人は、どんなことからもインスピレーションをもらって、自分の仕事に活かせないかという視点を持っているものです。 中でも、サッカーは攻守が瞬時に切り替わり、試合中はフィールドにいる選手たち自身で考えて動いて、共通するゴールを目指すのは、クリエイティブさの求められる現代のビジネスに通じる部分が多くあります。 そんなサッカーの天才と呼ばれて今は名コーチでもある菊原志郎さんと、楽天大学学長で多くのECサイト運営者を育ててきた仲山進也さんによって書かれたのが本書「

わからないものから価値が生まれる『若宮 和男 ハウ・トゥ アート・シンキング』

私は経営者でもありますが、元々プログラマであり、今も(少なくとも心は)プログラマであると自認している人間です。 プログラマに求められる特性は、論理的であり、正確性があり、抽象化思考をすることです。それをベースに生きてきました。 そんなプログラマである私にとって、アートなんて遠い世界のものでした。・・・この本を読むまでは。 抽象と具象、どちらが先にあったのかアートにおいて「違うこと」に価値がある。同じこと、決まったとおりにするというのは「工場」のパラダイムである。本書で主

ゲームみたいに仕事をすれば遊ぶように働ける『玉樹 真一郎 「ついやってしまう」体験のつくりかた』

人は一体どんなときに自ら行動するのか。果たして、その行動は本当に自分で考えたものなのか。もし人為的な企画だとしたら、そこには「ついやってしまう」みたいな体験デザインが隠されているのかもしれません。 元は任天堂で企画担当をされていた著者による本書『「ついやってしまう」体験のつくりかた』では、コンピュータゲームという身近な題材を例にして「どうやって人の心を動かせば良いのか」を解説しています。 本書の題材こそはゲームですが、ビジネスシーンから家庭まで様々な場面で応用できる考え方

見える世界を変えたいと望むなら抽象化を身につけて 『細谷功 具体と抽象』

「一を聞いて十を知る」という言葉があるけれど、たった一度の経験から多くのことを学ぶ人もいれば、何度も似たような経験をするしかない人もいます。一体、何が違うのでしょうか。 具体的な経験から抽象化できるかどうか、そして抽象化された概念を別の具体的な事項に当てはめて考えることができるかどうか、そこに違いがあるのです。そんな具体と抽象について書かれたのが本書です。 『メモの魔力』というベストセラーの中で言及されたことで、改めて注目された本です。本書は、本当に人生に役に立つ本ではな

チームづくりこそが最高のアクティビティ 『長尾彰 宇宙兄弟チームの話』

すべての人が一人ずつ違っているように、あらゆるチームも違っている。状況も目的も、何一つとして同じチームなどないのだから、均一的なチームビルディングや型通りのリーダーシップを求めてもうまくはいかない。 では、どうすればチームづくりがうまくいくのか。本書では、人気漫画「宇宙兄弟」の登場人物やエピソードを使いながら、リーダーシップの4分類、4つのチーム発達段階をわかりやすく解説しています。 チームづくりは簡単ではないけれど、チームの仲間と一緒になってチームづくりに取り組むことは

人とわかりあえないことを諦めない 『宇田川元一 他者と働く』

人と人の間には、お互いにわかりあえない溝がある。人は独りでは生きていけないけれど、他の誰かとわかりあうためには、それなりの努力が求められる。それは簡単なことではない。 そんな前提のもとに、どうすれば良い関係性を築くことができるのか、どうやって難しい状況を解決していくのか、そこに「対話」を通じて向き合っていくことを本書では伝えています。 技術問題よりも厄介な適応課題に向き合う私が、10年近く会社をマネジメントして思うことは、組織やビジネスにおいて都合の良い方法など無かったと

会社に頼らず生きる人は面白い 『唐土新市郎 肩書き「オレ」で生きていけ!』

仕事をしていると色々な人に会いますが、どこの会社で働く人だから面白いと思うことはなくて、やっぱり、その人自身が語る言葉が魅力的かどうかでビジネスの判断さえする、というのは間違いなくあります。 本書は「会社に頼らずに生きていく」ことが、これからの時代に重要になると伝えています。そのための「自分の価値」を高めて稼ぐ力を身につける方法について、著者の経験をもとに述べられた本です。 自分で稼ぐ力があれば怖いものはなくなる組織の寿命よりも個人の寿命が長い時代になるかもしれない中で、

働き方を縛るものは何か 『倉重公太朗 雇用改革のファンファーレ「働き方改革」、その先へ』

長時間労働の是正など働き方を見直す風潮は、今もなお続いている。「働き方改革」というキャッチフレーズは、もはやどこにも蔓延しすぎて「改革」って一体なんだったっけと思ってしまうほど。 そもそも働き方だけを切り取っても、それを大きく変えることはできないと私は考えています。よく私たちソニックガーデンの全社員リモートワークの働き方などを紹介しても、「それは、どんな業界でもできますか」という質問を受けますが、そんな訳はありません。 業界や業種が違ったり、顧客が求めるニーズに何を提供す