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1ヶ月で8割とれる新内科専門医試験対策


直近の試験傾向と対策の考え方


第4回内科専門医試験が近づいていますが内科専門医試験難化と合格率の低下が話題になっていますね。
直近の第3回内科専門医試験までの合格率の推移は年毎に下降の一途を辿っています。

認定内科医、内科専門医試験の合格率推移
日本内科学会雑誌より

この傾向から受験生が多くなるにつれ合格率は下がる傾向にあり、第3回で不合格の方の人数が第4回の受験者数に上乗せされるため、第4回の合格率も凡そ80〜90%と予想され大幅な合格率の上昇はないものと考えられます。

とはいえ内科専門医がないと内科医ではサブスペの申請資格が得られず芋づる式に今後の資格取得が遅れてしまい何とか一発で合格したいものです。
無論周りより多くの時間を費やし多くの教材をこなせばその分合格には近づきますが、かといって絶対合格できる方法はなく、5月末という試験時期を考えると、年度変わりで職場が変わる人もいて新しい職場に慣れるのに時間を要したり、引っ越しや家庭でのライフイベントがあったりそもそも診療科や病院毎に忙しさも変わるため時間を割けない方も一定数おられます。
よって試験勉強量は人によってピンキリで、全員が試験の直前期に試験勉強を中心とした生活をしているわけではないでしょう。ただし個人的な体感としてはそのような多忙な方に限って落ちやすいという感じはありません。

試験に合格された方殆どに共通点があり、それは
周りが取れる問題を落としていないことです。
国試然り相対評価の試験では当たり前の事ではありますが、では内科専門医試験で取れる問題を確実に取るにはどの教材をどのぐらい勉強すればいいのでしょうか。
今回の記事では第2回内科専門医試験を受験した筆者の経験に基づき対策法を紹介、考察していきます。

試験結果、内容の難易度


試験結果は8割を超えました。
平均 71.35でギリギリ合格という訳ではありません。

試験結果(個人情報のため総合成績以外は伏せています)


内科学会HPに、認定内科医試験と総合内科専門医試験の中間のイメージと記載されており、試験の具体的な体感としてはそれぞれのレベルの問題が丁度半分ずつ出題されていた感じです。

そのため問題毎の難易度の差が明らかに激しい印象でした。
最終結果は8割ですが、それでも試験時に確信して選べた問題は55〜60%程でした。基本的に総合内科専門医レベルの問題は、専攻科のは解けますが逆に他科の問題は難しく、確信して選べたのは認定内科医レベルの問題数5割と専攻科の問題数を足して55〜60%程といった具合です。
試験後にほぼ全問の再現が受験者によって作成され自己採点で75%程正解、最終結果が8割でした。どのような処理がされているかはわかりませんが、基本的には難問削除などにより全員何かしらのスコアの水増し(筆者は5%程)はあるようです

第3回内科専門医試験は平均 69.28と難化し再現を見る限りは大雑把に出題比率は認定内科医試験レベル:総合内科専門医試験レベル=4:6といった所でしょうか。
ただしいくら問題が難しくなっても簡単な問題を落とさないようにすれば受かるという鉄則に変わりはありません。

第3回内科専門医試験結果(日本内科学会雑誌より)

内科専門医試験で使用される教材


内科専門医試験に使われる教材は下記にあげるように年々候補が増えてきており、種類が多すぎて教材の選択自体に受験される先生が時間を浪費してしまうことにつながると考えられます。

1 日本内科学会 内科認定医・総合内科専門医過去問題集第1版、第2版
2 内科専門医試験 Qb online
3 The 内科専門医問題集 医学書院 
4 Year Note 付録 Quick Check
5 内科専門医試験 出るズバッ!Live、バーチャル模試(ケアネットの映像講義)
6 日本内科学会 セルフトレーニング問題
7 医師国家試験問題
8 SNSに公開中の内科専門医試験の復元問題
9 日本内科学会雑誌MCQ
10 MEC 内科専門医試験リサーチサマライズ

しかし上述したような、正答率が高い問題を落とさない「高得点でなく、合格」を目指すやり方においては使用候補となる教材はバラツキは生じにくいと考えます。

実際の使用教材


筆者が使用した教材は下記の3つです。
①日本内科学会 内科認定医・総合内科専門医過去問題集第2版
②Year Note 付録 Quick Check
③医師国家試験問題 medu4 アプリを使用
それぞれ具体的に見ていきましょう。

①日本内科学会 内科認定医・総合内科専門医過去問題集第2版

内科学会が内科専門医試験用対策として公表している唯一の書籍です。
書店にはなく、↑の内科学会のリンクからwebで申し込めます。
最も重要で使用mustの教材です。今年受験される方で持っていない方は早速↑の内科学会のページから購入しましょう。
内容は2018年度の過去問ですが、学会が公認しているだけあって、プール問題、類題は出題され本番と難易度の違いはあれど出題される疾患はこの書籍にある疾患から相当数が出題されます。
2018年度の問題なので、やはり本番より難易度は下がりますが出る疾患は重複するので解説を見てもわからない部分や周辺知識の補填が必要な場合は別で調べる必要があります。
使い方としては、まず勉強開始時に一周解いてみましょう。その時の得点率は自分が後どれぐらい勉強するべきかの目安になります。その上で全部で最低2周、できれば3周し解説内容まで理解しましょう。

また、解説無しで解答のみの第1版(2016年度出題問題)はする必要はないと思います。
理由は、
・学会が対策用書籍として公表していないこと
・第2版と内容が重複していると考えられ、第2版でさえ6年前のものでそれよりさらに古いこと
・解説がない為解答の根拠がわからない時毎回調べる必要があり多くの時間を費やしてしまうこと

以上より第1版は理解に時間がかかる上に得られるものも少ないと考えます。

②Year Note 付録 Quick Check

 

付録に認定内科医試験、総合内科専門医試験用に一問一答で○×形式で分野によってバラツキがありますが各分野100問単位の問題数です。
実際の過去問を踏襲しているのか、意外にも10問弱程はこの一問一答からそのままの内容が出題されていました。
全部をこなすにはかなり分量が多いです。
自分は腎臓専攻なので、国試での知識が抜けている分野の神経、循環器から手をつけ始めました。
最初に初めたこの2つは3周できましたが、思ったより量が多く腎臓と血液はノータッチ、その他の分野は2周で終わりました。(なぜ血液をスルーしたかは忘れましたが血液だけ微妙に平均を下回りました笑。)
上述の通り実際に自分が診療している分野に関しては本番はとりやすいので、専攻科の問題はしなくていいと思います。当時の合格報告では専攻科は95-100%取れてる方も多かったですね。
試験対策には間違いなく有用ですが、year noteは正規では25000円以上の値段がしてしまい↑の教材候補の中でもかなり割高です。。
最新版でなくても持っている方はそのまま使用するのがオススメです。(自分も試験から数年前のものを使用しています。)

③医師国家試験問題


内科専門医試験の方が難易度は高いですが求められる知識は重複する為重要です。現にMECの内科専門医試験用の映像講義では国試の過去問が教材に使用されていました。
試験勉強開始前の知識が少ない方ほど国試の過去問は重宝すると考えられます。また、基本的に問題、正答、解説も無料で勉強できるのも有り難いです(最新年の国試は問題、正答のみ)。

国試問題、解説の入手は国試の予備校のmedu4アプリが便利で使用していました。(medu4とのCOIはありません。)学生でなくてもメールアドレス登録のみで無料で利用できます。

medu4 アプリ検索場面

これで回数別や分野もすぐ絞れるので便利です。
ここで回数を指定して、分野を内科、救急に絞り検索すると問題がリスト化されます。

medu4 アプリ 問題画面
問題検索場面

周回で重宝するのが自分の理解度を問題毎にマークして後から自分のマークを元にソートできるところです。問題画面のように最初は「無印」にチェックが入っています。今後復習のいらない問題は「無印」のまま、繰り返したい場合は◎など別のマークにチェックすれば、次にマークで検索すればすぐに復習したい問題をピックアップできます。

どのぐらいの量を行うかは時間がない方は直近3年、余力のある方は5年分が目安です。
分野は内科領域+救急に絞り、少なくとも全問正答できるようにしましょう。国試勉強と同じように、できれば誤答の選択肢分析も行えるといいです。

1年で凡そ問題数は200弱で内容の重複もあり、各々難しくはない為マーク機能を使えば案外時間はかかりません。筆者もマーク機能を使い周回毎に勉強する問題数を減らしていき、5年分解説の読み込みまで行いましたが3周は行うことができました。
試験本番では国試レベルの問題は正答率が高くなり落とせないので国試の問題を正解する自信がない方ほど重要になってきます。

使用していない教材でおすすめ


内科専門医試験 出るズバッ!Live、バーチャル模試(ケアネットの映像講義)

試験対策として、
長門流 内科専門医試験「出るズバッ!LIVE」2024内科専門医試験 バーチャル模試2024
この2つの映像講義があります。
過去問の再現を元に作られており、「ケアネットの内容から被った」など例年評判がいいです。

料金システムも月額5500円で映像見放題、入会月は無料と他教材に比べてかなりお値打ちです。入会月は無料ですが入会時に2ヶ月分を5500円で買うというシステムなので無料体験期間はありませんが情報量に比べて安いと思います。先程のyear noteが金銭的に厳しい方もケアネットはオススメです。

解約のタイミングは月末になっているため、特に今年4月から勉強を始めて、試験後に解約というふうにするのが1番コスパがいいですね。
ただし、第2回、第4回は試験が5月末ですが、第3回は6月初めに試験があったので年度によって当たり外れがありますね。。
筆者も後に総合内科専門医試験の受験が決まれば購入しようと思います。

内科専門医試験の復元問題は役立つか


勉強始めにどのようなものか雰囲気を掴む為の他、勉強がある程度進んだ時に解けるかどうか到達目標の確認のため役立つとは思います。
ただし、2024年2月末に真意は定かではありませんが「復元が著作権に触れる」という情報が拡散され続々と再現が消えている為皆さんがこの記事を読むか試験勉強をしている頃には再現は見れないかもしれません。
しかし再現がそのまま被っているのは本番の凡そ1%前後、多く見積もっても2%以内です。実際筆者は受験後に再現が公開されているのを知った為試験後に再現を確認しましたが被っているのは極一部でした。疾患が被っていても切り口は変わっていることが多いです。
その為再現の閲覧は必須では無いと思います。

最後に


内科専門医試験は合格率も低くなっており難しくなっていますが、簡単な問題を落とさないという鉄則に乗っ取って勉強すれば試験勉強に多大な時間を割かなくても、多くの教材を用いなくても十分合格できる試験です。

筆者の忙しさは忙しすぎるわけではありませんが暇では無いレベルで、1ヶ月間毎日フルで勉強できてたかというと全くそうではなく、2週前でも3日勉強できない日があったり、直前のアフター5に出席必須のイベントが発生し勉強できない日もありました。

勿論油断のしすぎは問題です。オンコールや私生活などで予想外に勉強時間が削られることもありますが、自分の今までの生活や忙しさを踏まえて、各々の教材をそれぞれ何日費やせばこなせるか、何日前から試験勉強を始めると自分の目標量を達成できるか、試験のある程度前に逆算して計画を立てる必要があります。

この記事に辿り着くぐらい情報収集、勉強に熱心な方であれば試験は合格できると思います。
この記事がご覧になった方の今後の試験勉強や日常に役立てることを願っています。
長いですが読んで下さりありがとうございました。


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