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魑魅ヨカイキテオルナガ怖しい

昨年の話
私は
調子に乗ってしまったのだ。
信じてくれる人なんか
いる筈もない。
なのに
精神世界やら、神道やらを語れて
嬉しくなって つい 友達になれると。
視える事など
言わなきゃよかった。


昼休み
最近仲のいい若い女性から
3歳の子が夜に叫び声をあげて
起きるという話しを聴いた。
一緒に寝ている上の子も
母である彼女も
父親である彼女の夫も起きてしまう。
「保育園に入ったばかりだからでは?」
 そんな風に彼女をなだめた。
じきに慣れてなくなるよと。

彼女は次の週、目の下にクマをつくり
「パパに寝かしつけてもらおうとしたら、もう泣き叫んで言うの。
"パパのて、パパのてにおんなのひと
おんなのひとついてる"って
視てよ、ねぇ何かいるの」


視てしまった。
「スマホで旦那さんの写真選んで貸して」
これは
"もう一枚"
これ
"次男ちゃんと一緒のは"
これ

 いた。腕だけが旦那さんの
左腕に絡みついていた。
白い女の腕だ。
見えるかな、コントラスト強く
これなんだけど

 あなたと結婚する前からの
女(ひと)旦那さんの左腕
手だけがいる。絡んでる。

大きく息を吸い込んだ後
目を見開いて写真を見つめたまま無言で彼女は私の前から去った。

言わなきゃ良かった
言わなきゃ良かった
視えるなんて。
友達になれると思ったのに。
視えたものなんか
言わなきゃ良かった。
翌日彼女は
「私、会社やめる」

あー私のせいだ、気持ち悪がられた。

「ありがとう!私旦那の仕事手伝うの!絶対にあなたの視てくれた女になんか負けない!ありがとう」
 「きっちりカタつけたわ。私旦那の側にいるわ。私が妻だわって
左腕に言ってやったよ笑。リアルの話し合いもしたよ」
さすが薩摩おごじょ。
強い。


#怪談 #実話怪談 #怪異譚  

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