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僕ヤバ:Karte113の話

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おめでとう

感想文

文句なしの、誰がどう見ても正真正銘の、告白の回でした。

最初のコマから山田を気遣う市川という流れは初期の僕ヤバの流れを汲んだニュアンスで、自分事と普通は思う足立とのちょっとしたやりとり。
ヤバイやつではなくて、友達としての適当な軽口でのやりとりもまたちょっとぐっとくる描写ではないでしょうか。
それくらいには時が経ちました二人です。
君たちクラス違うよね?

回想。
期待と楽しみに膨らんでいたカバンのそのほとんどは大量のおかし。
つまりは山田のことでいっぱいだったリュック。
寝ぐせもそのままに出てきたのは早朝だったからか、急いでいたからか。
そういう二人の時間になるのを感じさせる場面。

おかしを抱えて歩く山田の満たされた顔もそうですが、背中を押す言葉も『がんばれ』じゃなくて。
『大丈夫』。山田をよく知ってる市川からの言葉なら、山田が恥じらいとかそういうものを含まずに純粋にうれしそうなのもちょっと納得。
心からの安心が垣間見える笑顔で、一周回って頼もしくも見えるコマ。
セリフはないけど、大きなコマだと思う。

そもそもセリフがなくたって読み取ってきた二人だのマンガだし。

恥ずかしいムーブ。
まあどちらかというと照れくさいの話でしょう。
修学旅行を山田なしでも目いっぱい楽しんでいる市川。

ちょっとだけ思い出すKarte21。
市川がいない女子の日常と同様に、山田がいなくてもちゃんと回る市川の日常が感じられるのもよい。
悪い顔してる写真の足立と惚れてるしぐさの神崎、あきれてる京ちゃんの顔も結構好き。ちょっとしたやりとりがいとおしいページ。

帰路。
みんな目いっぱい遊んで疲れた新幹線はきっと静かで。
思索にふける市川とは妙に馴染んでいる場面。

"山田がいなくても"
でも会いたい。会いたいの先はやっぱり山田がいたほうが楽しいからじゃないだろうか。
駆ける足はどんどん速度を増して、
過ぎる回想はたくさんあってもそれらを置いて行って走ってる。

夕方の図書室
今までかたくなに避けられていたとしか思えなかった時間帯。
二人の時間はいつも昼休みと放課後の帰路etcだったはずで、
いつかくるとして、この場面でしか来ないと予感させられていた場所。
陰影が情緒を大きく揺さぶる、二人の聖なる箱。

なんて思えば1巻のおにぎり貪りゴリラの構図でいろいろ破壊してきた山田。
流石に京ちゃんもこの顔である。そりゃそうだ。

たくさんあるから。
いつかツイヤバで言っていた、ちょっと迷った話。
今回は、『おそかったね』ではなくて『すぐわかった?』うきうきと。
市川のつながる言葉も『でも』であって、迷ったけど違うというニュアンスで。

おかしと言ったらこの場所だとわかっていたと応える。
通じ合っている二人だから、今回はきっと一直線に来たのだろうと。
そんなことを想像させる。

オーディション。
結果はわからない。
山田の内心の吐露。『陽キャ』として描かれている山田の『陰』の部分。
ちょっとした視点換えのマジック。
市川からそんなことないと声を出す前に、『そんな自分が好き』。
"変わったんじゃなくて""気づけた"

僕ヤバは変化を描いた話だけど、変化を強要するような話ではなくて、内面から変わろうと思った時だけ結果が付いただけのストーリーだったので、そういう不変であるはずの自己の性質は変わっていない、という山田の発言は結構というか、かなり大切にされているものだと思う。

続く山田の話も恋の話とかでもあるんだけど、どちらかというと愛の話であって、なんだか一風変わった関係だった気遣いと愛を持っていた二人の話がこういう言葉に綺麗な形にまとまってきたのは納得とともにちょっと驚き。
僕ヤバはいつだって愛の話だったと思うので、何か大きなものが胸に去来しますね。

告白。
窓は大きく開かれて、輝くような言葉と一緒に髪が揺れ動くのは感無量です。もう終わりです。そろそろまじめを繕っているのが限界になってきましたがそれくらいああ~……ってなるくらい静かで本当にいい場面ですね。
絞りだしたような応えも情緒があふれてて生々しくて、本当に僕ヤバってすごいなという場面。

キス。
上手くいかなくてぎこちなくて、初々しい二人の恋を表したかのような告白後のキスの敢行は、二人らしくてとてもかわいらしいですね。
フっと笑う市川もKarte35でも見せた、心から漏れたときの笑みで可愛いです。控えめに言って好きだ。かわいい。

そしてほっぺに。
うおーーーーーーーーーーーー青春だ~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!
そりゃ叫ぶ。山田だってそりゃ叫ぶ。
告白してOKでちゅーしたらそりゃ嬉しくてヒヒっとも言う。
突然の可愛さに世界があふれてKarte113は終了。

柱にはお付き合い編開始とあって、世界の変わりが告げられるのであった。


まとめ

僕の心のヤバイやつ
・Karte111『僕の恋心』
・Karte113『私の恋心』
僕の心の"それ"は恋心の話だったから、この2つのKarte名でタイトルが回収されたと言っていいでしょう。

Karte1、Karte30とほかにもたくさん思い出を作ってきたこの場所で二人が告白をするのはとても嬉しい展開でした。
放課後の予感もさせられていたため、そういうものを培ってきたこれまでの僕ヤバのストーリー展開も本当に見事。
劇場で上映後に静かに拍手させられるような読後感に酔わされる素敵な回でした。

僕ヤバは不器用な愛と恋と、未知と勇気が入り混じった話がずっと続いていて、この大きな区切りにこういった形に結実したのは本当にきれいな形に仕上がっていたと思います。
ストーリー構成というよりは、二人の形としてはやっぱりこの形がいいなと嬉しくなってしまうような。

そういう一つを見せてくれたことにとても大きな感謝を。
本当に素敵な話でした。

これからも僕ヤバは続くし、交際してこその難しさもたくさん出てくると思いますが今はこの余韻に浸りたいなと思います。

ああでも、アニメの情報で最初の二人が帰ってきたりでてんやわんや。
暴れ狂う情緒の日々はまだまだ終わらなさそうです。

本当にありがとう。そしておめでとう。

今回の報告は、以上です。

おまけ(読時感想)


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