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kintone SIGNPOSTは「パターン・ランゲージ」の手法を参考にしています。

2021年11月1日 Cybozu DaysのDay1で正式公開した、kintone SIGNPOST(キントーン サインポスト)、本当にたくさんのkintone界隈の方からフィードバックを頂きながら公開することができました!ありがとうございました!

今回kintone SIGNPOSTをより深く理解するためのワークショッププログラムやそこで使える冊子やカードも同時にリリースしています!ぜひ見てみてください。
https://kintone.cybozu.co.jp/kintone-signpost/

さて、このkintone SIGNPOST、「kintoneめっちゃ良いツールなのに、うまく活用できずに諦めちゃうのはもったいない」というところが個人的なスタートなのですが、kintoneの活用事例を知るたびに「kintoneの自由度の高さ」と「上手くいく方法」のバランスの難しさにぶち当たりました。。

「どんな風に使っても上手くいく」というものでもないし
かと言って
「こうすれば成功!という正解」は決められない

そんな時に出会ったのが「パターン・ランゲージ」という手法です。
https://creativeshift.co.jp/pattern-lang/

「パターン・ランゲージは、もともと1970年代に建築家クリストファー・アレグザンダーが住民参加のまちづくりのために提唱した知識記述の方法です。アレグザンダーは、町や建物に繰り返し現れる関係性を「パターン」と呼び、それを「ランゲージ」(言語)として共有する方法を考案しました。彼が目指したのは、誰もがデザインのプロセスに参加できる方法でした。町や建物をつくるのは建築家ですが、実際に住み、アレンジしながら育てていくのは住民だからです。」

これはまさにkintoneを使った業務改善そのものじゃないか!と思いました。パターン・ランゲージを使えば「成功マニュアルでもなく自由度を制限するルールブックでもないコンテンツ」が作れるんじゃないかと思いました。2020年2月14日、パターン・ランゲージとの出会いでした。それから経験者のインタビューを積み重ね、社内のフィードバックを重ね、勘所を抽出してコンテンツにしていきました。

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もう一つこだわったポイントとしては「kintoneを使った業務改善に関わる人全員のコンテンツにしたかったこと」です。

サイボウズでは(一般的にも)、施策を検討する際にはターゲットを絞って明確にして進めていくのが定石ですし、これは私もそう思います。しかしながら今回のkintone SIGNPOSTは「関わる人全員」をターゲットにしたかったのです。

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その理由を、パターン・ランゲージの特徴の1つである「関係者の協働」というポイントで説明します。

従来のシステム開発では「ステークホルダーごとの役割や責任範囲を明確にして進める」というやり方が主だと思いますが、「kintoneを使った業務システム開発」では現場リーダー・システム構築者・IT部門、といった関係者同士が役割や責任範囲をうっすら滲みながら協働するやり方がフィットします。これをパターン・ランゲージでは「社会分業論」という本を引用して、次のように説明しています。

分業の最も著しい効果は、分業が分化された諸機能の能率を高めているということではなく、それらの諸機能を連帯的にしているということである。」

これまたまさにkintoneを使った業務改善そのものじゃないか!と思いました。

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「業務リーダーがシステム構築の手法や懸念事項を全く知らずに、業務要件をまとめるだけ」ではダメだし、
「システム構築者が業務プロセスを全く知らずにパフォーマンス高くきれいなプログラミングをするだけ」でもダメ

お互いがお互いのことをうっすら知っていることで、本来の目的を達成するためにワンチームに成れる」そんな気がしています。

というわけで、kintone SIGNPOSTはどのパターンも、kintoneを使った業務改善に関わる人全員に読んでいただきたいと思っています。そうすることで、業務リーダーにとっては「構築の部分はプロに任せるんだけどパフォーマンスについてはこういう要素が重要なんだな」と知ることができたり、システム構築者にとっては「契約上はリリースまでで一旦終了するんだけど、運用開始後のアプリ変更については構築フェーズでユーザーと一緒にルールを決めておこう」と気づけることで、お互いのことを考え連帯感を持ち、リスペクトし合うことができます。

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ちなみに同じ概念でkintone認定資格も設計されていますが、そちらはまた今度「思考コード」や「ルーブリック」というキーワードで書きたいと思います。

そして、パターン・ランゲージという手法を手に入れた私達は、たくさんのkintone経験者の方にインタビューをしまくり、社内メンバーからフィードバックをもらい、kintone活用事例を読み漁り、あーでもないこーでもないという議論を重ね、モニターテストを経て、βテストを経て、ようやく今回遂に公開することができました!ありがとうございます!!

自分は性格的に「あきっぽい」のですが、今回のkintone SIGNPOSTは、たくさんの人の思いが乗っている分、「絶対に形にするぞ」という固い意志がありましたし、「絶対に良いものになる」という根拠なき自信がありました。(一人でやってたらたぶん挫折していた。。。^^;)

なお、kintone SIGNPOSTという名前の検討にあたっては相当迷走しましたので、参考までに共有します。ご笑納ください笑

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というわけで、kintone SIGNPOSTはパターン・ランゲージという手法を採用しているというお話でした。とは言え、そんなに難しく考えずに、ぜひパターンの名前を声に出して読んでみてください。きっとkintoneらしい使い方が染み込んでくると思います(^^)

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