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「ドラムサークルの父」アーサー・ハルさんとの出会い

2016年6月4日から1泊2日で、静岡県掛川市にあるリゾート施設「つま恋」で開催されたドラムサークルの合宿研修「ドラムキャンプ15」に参加しました。

新入社員研修で体験したドラムサークルにすっかり魅せられて、ネットを検索していたらたまたま見つけた「ドラムキャンプ」。主催はドラムサークルファシリテーター協会(DCFA)で、協会の理事長はペッカーさんです。会員になると合宿費用が割引になるというので、さっそく会員になりました。

ドラムキャンプは、日本全国からパーカッション愛好家、演奏家、音楽療法士、教育関係者、ドラムサークルファシリテーターなどが集結する、年に一度のリズムイベントです。

今回はアメリカから「アーサー・ハル」さんという人がゲストで参加するそうです。どんな人かは知らないまま、とにかくドラムサークルの合宿に惹かれて参加しました。

このイベントは15回目ということで、参加する皆さんは既に仲良しなようです。受付で再会を喜ぶ挨拶が交わされていました。私は人見知りなので、入り込むのがなかなか難しかったのですが、同室の同じく初めて参加した20代のサラリーマンドラマーが仲良くしてくれたので助かりました。

会場に入ると、新人研修の時と同じようにジャンベなどのパーカッションが輪になって並べてあります。それぞれ好きな場所に座っていきます。誰かが合図するわけでもなく、自然にリズムが発生します。やがてそのリズムは80人の参加者全員の強力な一体感となり、ドラムサークルが始まっていきました。

今回のドラムキャンプのメインイベントはアーサー・ハルさんによるファシリテーションです。

なんとアーサーさんは、「ドラムサークルの父」と呼ばれている方でした。なぜならドラムサークルファシリテーションの手法を開発した方だったのです。世界中を回ってドラムサークルファシリテーションの指導をしているのです。

初めてのドラムキャンプで、ドラムサークルの父に教えを受ける幸運。著名人であるにも関わらずとてもフレンドリーで、先生らしさはないのです。それはまさに、アーサーさんが唱える「ファシリテーターは教えずして教える」ことでした。参加者が今、ここのリズムやサウンドを楽しみながら創りだすことができるようガイドしていくことでした。リラックスして楽しくリズムに身をまかせることができるのです。そして、究極のファシリテーションは「ノー・ファシリテーション」。輪の中央で指示を出すのではなく、いつのまにか消えてしまうのです。ファシリテーターが居なくなっても参加者は不安になる事なく、楽しくタイコを叩いているのです。

アーサーさんがファシリテーションのあるドラムサークルを生み出した経緯が書かれている興味深いインタビューを見つけました。
http://framedrum-japan.org/hull-interview.html

最初の現代的なドラムサークルは、1967年、サンフランシスコでヒッピーの連中が集まって、行なったものだったそうです。

初期のころには、ヒッピーサンダードラマーと呼ばれていました。ヒッピーたちは、勝手気ままにタイコを叩いてまるで雷鳴のように聞こえたからだそうです。

それが、たまにいっしょに演奏する人たちがつながってハーモニーをつくり出すことが起こりました。

「それができたときの素晴らしさは打ち消しがたいものでした。
演奏者それぞれが一匹のタコの触手として自分のパートをたたいているようなかんじです。」

アーサーさんは、そのころサンフランシスコで伝統的なドラムを学んでいました。そして伝統的なドラミングと決まりのない、かたちにとらわれないスピリットドラミングとの間でもがいていたのだそうです。その後ドラムの先生になり、伝統的なドラムを教えていましたが、ウォーミングアップとエンディングに自由に叩くジャムの時間を設けると、このジャムの時間がとても人気となりました。

「なんのプレッシャーも感じなくていいし、間違いはありえないし、やっているのは、お互いにたたきあって、お互いに聞き合っているだけだからです。私はとてもそのやり方が楽しかったのです。」

そしてアーサーさんは、ドラマーではない友達とも同じやり方でドラムを楽しみ始め、ファシリテーションのあるドラムサークルを始めることになったのです。

アーサー・ハルさん


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