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うどんや大門@中野ブロードウエイ

中野駅から急ぎ足で中野サンモールを抜け、中野ブロードウェイの階段を駆け下りて通路を曲がるとその先にすでに20人ほどの並び。そうだよね、うんって、最後尾に合流。12時前のこと。牛歩のようにゆっくりと進みつつ徐々に込みあげる期待を楽しむ時間。厨房で黙々とうどんを茹でるご主人と、天ぷらを揚げ、並びに小走りでオーダーを聞きに行く白い割烹着の奥様の二人三脚を良いなって眺めながら1時間くらい。席が空き招かれる小さなカウンター席。ひやひやの中と南高梅にしいたけ天と赤星を。

映画「UDON(うどん)」の製作スタッフとして携わっていた店主。「香川県に滞在していた数カ月の間に香川県独自の食文化に魅せられて、映画の仕事を辞めることがあればうどん屋を開こうと考えていた」という。スタジオジブリに勤めていた縁で暖簾は鈴木敏夫さん直筆。店内には宮崎駿さんからの同店繁盛を願ったイラストが並ぶ。

しいたけ天に塩を振りかぶり付いてむっちりな肉厚に旨って感動を赤星で流し込む。うん、しあわせ。少しして丁寧に届くうどん。そのたたずまいを眺めているだけで初恋のような淡い気持ち。ゆっくりと汁を啜ると淡口醤油のほのかな尖りが来て軽やかにいりこ。愛が籠るちゅるんちゅるんの艶やかな唇を滑る細めのうどん。鬼おろしのだいこんの食感。梅干しの甘み。全集中して大切に頬張るうどん。最後の一滴をぐっと飲み干してごちそうさま。


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