約束

2005年のある冬の日。
あの人の最後の授業。

授業の最後に、あの人は、誰かに向けて、ある「約束」を言いました。

生徒全員に言っているともとれるし、よくよく考えると、誰か特別な相手に言っている、そんな微妙なニュアンスの言い方でした。

「、、それができなかったら、来世でまた会おう。」

それが、最後の言葉でした。

(来世はやだ!!)

と、強く強く思いました。

あの人が、誰を好きでも構わない。
この約束が、本当は、私とは違う誰かに向けたものでも、構わない。
ただ、私は、この約束を果たしたい。
また、あの人に会いたい!

そう、力強く決意しました。
それから今までの人生は、
ずっと、この「約束」を果たすために生きてきたと言っても、過言ではありません。

この約束は、自分でも信じられない程の、
力を与えてくれました。

この約束が、この後の私の人生の全てを変えてしまいました。

でも、ある意味、この約束がなければ、もしかしたら、平穏無事な人生が送れていたのかもしれません。

この約束は、私を、殺し、生かす、両刃の剣でした。

この後の人生は、
信じがたいほどの試練の連続、
地獄の世界でした。

地獄の中で、唯一見えていた一筋の光。
それが、この約束でした。

でも、地獄に踏み込んだ、そもそものきっかけも、この約束だったのです。

あの時の、
私の希望に満ちた決意とは裏腹に、
その先には、延々と続く地獄の日々が待っているのでした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?