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古見さんはコミュ症です・・・・・・僕のクラスの天照大御神。2021年10月~12月/2022年4月~6月 

 古見さんはコミュ障ではない。きちんと人の気持ちがわかり、自分の気持ちもわかり、はっきりとした意志もある。極端に内気で赤面症なだけだ。むしろコミュ力モンスター長名や山井の方が問題である。友達100万人は無理、人間が覚えていられる顔は最大150人程度であるというし、拉致監禁など言語道断。

 立て板に水、どれだけ流暢に会話ができても人の気持ちに配慮しない、またサイコパスのように自分の利益のために人のことは一切省みない、人に害を与えてまったく悪気がない、言葉の裏を読めない、読んでもそれをわざと自分の利益に誘導する、人を精神的に追い込み支配することを得意とする、常識がない、倫理道徳がない、冗談を解さない、また礼儀を守れない、などはやはりコミュ障のうちに入るのではないか。
 表面上は人付き合いがよくフランクで多数の人脈を持ち話が面白いため、あの人はコミュ力が高い、と評価されてしまうが、こういった人間は危険ですらある。

 古見さんはそういった連中とは一線を画す。ひたすら内気な古見さんは成績優秀、絶世の美少女である。控え目で振る舞い所作も美しい。そんな彼女が普通の人を自任する只野君に支えられお友達を作っていく・・・・・・のだが、このクラス、学校で古見さん本人は気づいていないのだが、自身は、たいへんな人気者であった。学級委員長にされそうになり震える古見さん、只野のブレーン、長名は古見さんは学級委員長は相応しくない、クラスの神だ!といい神にされてしまう。
 クラスみな平等はありえない。スクールカーストがある。中高生を縛る鉄の掟である。陽キャ、リア充が上位を占め、陰キャ、オタク、ブサイクは底辺である。上位集団同士の主導権争いもあるだろう。
 しかし、権力はない、カリスマもない、強い意志もない、皆から信じられ愛される高貴な一人を権威として頂点に置くことでスクールカーストとは別の理想郷がもたらされる。一君万民の思想である。
 
 アマテラスオオミカミは「言挙げ」せずとも他の神々が動き国造りが成る。そして古見さんが極端な内気を克服しようとなにか行動に出るたびに皆がその行動に「萌える」。コミカルな演出と美しい背景やカット割りが二学期鬱すらないクラスの幸せ感を画面いっぱいに表現している。聞けばこの作品、小学生に人気という。大いに頷ける。
 
 そして何より、過剰な彼らにコミュニケーションを教えているのは実は古見さんではないだろうか。世の中には内気な人もいる、ゆっくり人の話を聞くことも必要である、ノリで話していいのは中高生までであると……ありえないくらい理想的で幸せなクラスの統合の象徴となった古見さんは、実に日本的なリーダーの在り方を知らしめた。
 
 

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