福の重さ

はじめて福袋を買った。通りがかりのワイン売り場、「辛口4本 3,000円 10本に1本ドン・ペリニョン入り」にグイと腕を捕まれてしまった。「アカサンシロイチでよろしかったでしょうか」。アカサンシロイチ……あ、赤3白1。なにかの呪文みたいと思いながら商品を受け取り、友人との待ち合わせ場所へ。地上へ出ると暴風に街路樹が幹から揺れいた。アカサンシロイチを授かった私は、石像のように地に押さえつけられている。福が重い。石像のまま歩みながら、人にはそれぞれ背負いきれない福もあることを思う。ちなみに、ドンペリは入っていなかった。入っていたら、福は羽衣のように軽くなったのだろうか。

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