見出し画像

「一寸投資」

最近、最近、身の丈も心も小さな男が居ました。
その男は何事も少しずつ行うようにしており、あらゆるリスクを軽減するようにしていました。

男は地方の片田舎に住んでいましたが、都会に出て見分を広めるべく上京することにしました。しかし、いきなり都会に繰り出すのは怖いので、少しずつ引っ越し、徐々に人が多い場所へ移るようにして自分を都会に慣らしていきました。

都会では色々なバイトを少しずつ経験し、様々な場所や人に少しずつ触れ合いました。ある日、投資を進められた男は少しずつ自分の資産を増やすことを考えました。

iDeCoやNISAを始めた男は、少しずつ未来に向けて投資を始めました。
資産は打ち出の小槌を振るように増えていき、男は段々気が大きくなっていきました。

何事も最初は少しずつ始める男ですが、積み重ねるうちにインフレを起こしていき、大金を使って遊び歩くようになりました。

とある晩餐会にて、お椀に並々と注いだ酒を飲み、豪華な料理を平らげていたところ、刺身のアニサキスに当たり、男は腹痛で床を転げ回りました。

物理的に痛い目に遭った男は、我に返り「少しずつの精神」を取り戻しました。少しずつ無駄を削ぎ落すようになっていき、今度はミニマリストになっていきました。

そして、食事もあまり取らなかったので栄養失調で倒れました。

男はそんな極端から極端へ少しずつ移行する生活を繰り返し、時には「FIREしそうでしない人」としてメディアにも取り上げられました。

昔はそんな自分の性格があまり好きではありませんでしたが、今では少しだけ自分のことが好きになれてきた男は今日も「少しずつ」に励みます。

END

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?