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「紙無しホウイチ」

最近、最近、ホウイチという会社がありました。
主にデジタル化に力を入れており、ハンコのデジタル化、給料明細のデジタル化など、ペーパーレスを進めることで、紙の消費量と管理コストの削減に取り組んでいます。

ある夜、取引先の会社であるヘイケとゲンジの琵琶の演奏楽譜のデジタル化を進めている中で、担当部署から謎の声が聞こえてきました。

「ホウイチ…ホウイチ…!」

どのデスクの電話も誰のスマホも着信していないのに声が聞こえてきます。

「訳あって正体を明かせないのだが、この機密文書を3日間かけてデジタル化して欲しい。そして、そのことは今この部署に居る君達以外には絶対に知られてはならない。」

声がしなくなった後、何も置いていなかったはずのデスクに大量の書類が載せられていることに気が付きました。書類に目を通しても内容が専門的で複雑なので、何も分かりませんでしたが、取り敢えず訳ありなのだろうと部署の人達は引き受けました。

それから担当部署の人達は作業に入りましたが、周りには明かせない為不審な残業が増え、上層部の人達が様子を見に来ました。彼らも書類の意味までは分かりませんでしたが、その危険性を何となく察知し、作業を中止するように指示しました。

「途中迄進めたデータを暗号化して完全に破棄するんだ。」

担当部署はすぐに破棄作業に取り掛かりましたが、破棄するにも膨大な量でしたので、2つだけ暗号化が漏れたデータがありました。

その後、第三者がサーバーに侵入し、その2つの情報を抜き取ってしまいました。抜き取られた箇所には一言だけメッセージが残されていました。

「コレダケデモジュウブンダ アリガトウ」

数ヶ月後、世界を巻き込む大きな事件が引き起こされるが、
そのきっかけとなったのはこの会社であることは誰も知らない…

END

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