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ホラー小説『近畿地方のある場所について』の感想

カテゴリー : 小説
ジャンル    : ホラー / ミステリー / モキュメンタリー
筆者の評価 : ★★★★★

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ある夜、自宅にて1人ビールを一杯やりつつiPhoneでAmazonのサイトをポチポチやっていた際、おすすめで突如表示されたのが本作だった。

赤いカバーデザインが気持ち悪いな。。
それに何だこのタイトルは。。と、ほろ酔いの頭でぼんやり概要と評価をつら〜っと辿り、あぁ、なるほどこれホラー小説なんだとようやく気がついた。

なかなかに高評価で怖い!おもしろい!という感想が多く見られた。

「ネット掲示板のほん怖の感覚で読めます」
「なんでこんなに怖い小説を書くの?」
「事実なのか、虚構なのか?」

極めつけにキャッチコピー
見つけてくださってありがとうございます。

うん、気持ち悪いな。。
※読んでみて意味がわかりもっと気持ち悪くなった

でも気になる、、めちゃくちゃ気になる。
不気味なカバーもタイトルも何だか凄く高尚なアートの様に見えてきた。。

で、結局数日後購入に至ったわけです。

まずは以下、本作の概要です。
〜〜〜〜〜〜〜
ライターの背筋は友人であり編集者である小沢と一緒にオカルト雑誌を作っていた。そして幾つかの不気味な怪談に近畿地方のある場所がかかわっているのではないかという仮説を立てた二人は調査、考察を進めていく。しかし、ある日小沢は現地へ行くと言い残して失踪してしまうのだった。背筋は行方不明になった小沢の目撃情報を募るため、雑誌記事を中心に様々な媒体・メディアから引用抜粋した――少女失踪事件に関する週刊誌報道、ネットの匿名掲示板に投稿された怖い話、おかしな読者からの手紙等を『近畿地方のある場所について』というタイトルでまとめ、WEB上で情報提供を呼びかけていく。だが、これらの怪談と近畿地方のある場所には恐ろしい事実が隠されていて――。

〜〜〜〜〜〜〜
本作は『モキュメンタリー』という手法、、所謂フィクションなのだが、さも実話の様にドキュメンタリー風に話が進行していくという作りとなる。

作者の名前を見ても聞いたことないな、、誰??とそれもその筈。モキュメンタリーよろしく小説内の語り部のライターの『背筋』というペンネームがそのまま作者の名前として名乗られているのだ。

結論、面白すぎる。
1日で読破してしまった。

近畿地方のある一帯において起こった事件や奇妙な出来事について、「当事者及び関係者のインタビュー」、「雑誌記事」、「読者からの手紙」、「ネット掲示板」等により多面的に構成されているのだが1つ1ついちいち気味が悪い。

細かいディテールまで周到に構築されており、隙がなく、深く没入してしまった。
すんごい躍動感溢れる恐怖描写もあったりしてゾッとした。
ふざけんな!

正直、読後は1人で家に居るのが少し怖い。。

なお恐怖へのアプローチだけではなく、ミスリードやまあまあなドンデン返しもあり、ミステリーとしても高水準。

ネタバレするつもりは無いため、これ以上内容には触れないが。。何だろうこの気持ち悪さは。

映画で言うと少し前にNetflixで観た台湾ホラーの『呪詛』に近いか?
他にも黒沢清の『CURE』や『回路』、鈴木光司の『リング』、『螺旋』といったジャパニーズホラーのDNAもしっかり受け継いでいるようにも思えた。

本作も上記傑作ホラー映画群と同様に是非とも映画化して欲しい。
想像するだけでゾッとするシーン多数のため実際に映像で観てみたい。
ちゃんとお金をかけ、良い監督で撮って欲しいな。

ではでは




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