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体験を味わう

マインドフルネスという言葉を使わずに、マインドフルネスについて語っていきたいなと思い、筆をとってみます。

体験を味わうとは?

「極上の体験を味わう」と聞くと、例えば「5つ星ホテルに泊まる」などが頭に浮かぶ。でも体験を味わうというのは、別に大きなお金を払わなくてもできる。

例えば「チョコレートを食べる」「家のまわりを散歩する」「月を眺める」なども全部体験を味わうこと。

もっと気軽に、もっと手軽に体験を味わうことで、僕たちの人生は少し豊かになるんじゃないかと思う。

僕たちの注意は低下している

TwitterやYouTubeのショート動画は見ていて飽きない。どんどん面白いものが流れてくるので、ベッドで横になりながら、あっという間に時間が過ぎる。時間が溶けると言っていいだろう。

僕たちは注意力(アテンション)を奪い合う現代社会を生きている。それを理解するのに、アテンションエコノミーという言葉がある。

アテンションエコノミーとは、情報過多の現代において、企業やサービスが人々の注意を引きつけ、その時間を消費させることで利益を上げる仕組み。

スマホが提供する無料のコンテンツたちに、僕たちは注意力を差し出している。もちろん、それが心地よい時間だという人もいるだろう。僕も優秀なストレスコーピングだと思う。

ただ、スマホに流れてくるコンテンツを受け取り、消費していくだけの日々では、人生が味気なくなってしまうのではないか。そんな危機感を持っている。みなさんはどうだろうか。

僕たちの注意力は分散している。いろんなことを同時並行で行い、結果的に注意力が低下している。何かに長く集中することができない。

2時間の映画は観られないけど、5分のショート動画なら観られる。そういう状態に気づいたら慣れてしまっている。

うつ状態の人はどんな状態か

注意が分散しやすい現代社会に生きている。それともうひとつ。

人は、不安で頭がいっぱいになると、せっかく目の前に楽しいことがあってもうまく受け取れない。これは僕が身をもって経験した感覚。

うつ状態の人は世界にはたくさん面白いことがあるのに、それを受け取れない。

なぜかと言えば、疲れ果てているから。もしくは、不安などのネガティブ感情に注意力を奪われているからだと思う。

今こそ、体験を味わうが大事なんじゃないのか

先日、スマホを持たずに夜散歩に出かけた。

月の光、虫の声、猫の姿、足の音、いろんなものに注意が向くのを観察しながら、一歩、二歩と進んでいった。

このときにいろんな考えが頭に浮かぶのだけど、それを否定せず、流していく。思考ではなく、感覚に意識を向けていく。例えば、風が心地よいとか。

20分ほど歩いて帰宅した。少し汗をかいていたのでシャワーを浴びた。気分がスッキリした。夜散歩という体験を味わった。

趣味という解決策

「何かを作る、何かを育てる」という能動的な趣味も、体験を味わうキーワードだと思う。例えば僕の場合は、料理をするのが好き。

大した料理は作っていないけど、少しずつレシピを増やし、料理をする時間が心地よいものになっていた。

その後の皿洗いもいい時間になっている。音楽をかけながらする日もあるけど、一枚一枚の皿に意識を集中させ、ひとつひとつ終わらせていく。シンクがきれいになるとスッキリする。これも体験を味わうの例だろう。

能動的な趣味には次のようなものがある。

①クリエイティブな活動…ギターを弾く、料理を作る
②学びの活動…本を読む
③体験的な活動…ハイキングに行く、バドミントンをする

そろそろ結論を

マインドフルネスという言葉を使わずにマインドフルネスを説明する。そのためには、「体験を味わう」というのがキーワードになると思う。

夜散歩のような、無料でできる活動を、僕たちはもっといいものにできる。体験を味わうのが上手になれば、日常の中で豊かさをもっと感じられるのではないだろうか。

そのためには、やはり家事と趣味がキーワードになってくると思う。おいしい料理をつくり、身体を動かす。本を読み、ジャズを聴く。

ベッドに寝転んでTwitterやYouTubeを眺める。それもいい時間だけど、それ以外の選択肢も持っておきたい。そして選べるようになりたい。

そのためには、ちょっとだけ努力が必要だろう。現代社会へのささやかな抵抗が必要だと思っている。

おわり。

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