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箱根で出逢った美しい昆虫 ハンミョウ / 箱根外輪山①塔ノ沢~塔ノ峰~明星ヶ岳~宮城野

「箱根外輪山を一周する」
ここ数年来の目標である。

トレイルランナーの方は、一周50kmの箱根外輪山の稜線を一日で駆け抜けたりするようだが、私にはそんなことは到底無理なので何回かに分けて歩いてみようと思っている。

昨年の 7月下旬、箱根外輪山一周の一回目、塔ノ峰から明星ヶ岳までを歩いてみた。

昨年の夏は猛暑続きで、この日も暑い日だった。
他に登山者は見あたらず、トレランの方と数人出会っただけ。あまりの暑さにちょっと後悔しつつ、吹き出てくる汗をひたすら拭いながら山道を登っていった。

最初のピーク塔ノ峰に着き、樹林帯の道をさらに登り、笹が生い茂る稜線の登山道に入ると強烈な草いきれに包まれた。直射日光も厳しい。

明神ヶ岳までの縦走路は楽しいよ!と息子からすすめられていたが、これ以上暑さに耐えられる自信がなく、多めに持ってきたはずの水も残り少なく明星ヶ岳から宮城野へ下山することにした。

稜線から外れ森のなかを下っている途中だった。
目の前をブーンと虫が横切って少し後方の木のもとに着地した。

ハエの大きいのだろうか?気になりおそるおそる近づいてみる。
まるで七宝焼のような七色に輝いた2cm位の甲虫だった。
こんな美しい虫がいるなんて!

玉虫の仲間なのだろうか? いや玉虫程大きくはないし…。昆虫の知識が乏しいのでさっぱりわからない。
 
とにかく急いで写真に収めようとスマホを取り出す。
以前テレビで昆虫写真家の海野和男さんが言っていたことを思い出し、昆虫の眼にフォーカスを合わせた。

美しい虫の正体は気になるが、家に帰ってから調べることにした。

明星ヶ岳から宮城野に下る登山道で出逢ったハンミョウ


帰宅後、調べてみると虫の正体は「ハンミョウ」だった。

まさか、子どもの頃「ハンミョウ釣り」で遊んだ、あの頭が黒くて下は白くてウニョウニョとした虫の成虫なのか??

「ハンミョウ釣り」とは、土中のハンミョウの幼虫の巣穴にニラや細長い葉っぱなど ( 私は軒下のジャノヒゲの葉を使っていた ) を差し込んでおいて、食いついた所を釣り上げる遊びだ。実家の庭には、一見アリの巣かなと思うような3ミリ位のハンミョウの巣穴がたくさんあった。

子どもの頃もそれ以後も、この色鮮やかなハンミョウの成虫を見た記憶はない。他にも黒っぽいものがいるようなので、私が釣っていたのは違う種類のハンミョウだったのかもしれない。

つい先日ラジオを聴いていたらミュージシャンの甲本ヒロトさんが、偶然にもハンミョウのことを話していた。
幼虫を試験管で飼育したことがあるとか、あの鮮やかな色の模様は「分断色」といって他の動物に一つの物体だと認識されないためとか、短い飛行を繰返し移動し道案内をしているようだから別名「道教え」とも呼ばれるとか、ものすごく昆虫に詳しい方でとっても面白かった。

昨年の猛暑から半年がたった。
箱根の山には雪が降り土も凍りついている。
あの時出逢ったハンミョウは、どうやって冬を越しているのだろうか。


塔ノ沢駅から塔ノ峰へ登る。山頂には三等三角点が。

塔ノ峰から明星ヶ岳までの稜線。
真夏の直射日光が厳しく強烈な草いきれに包まれた。

明星ヶ岳山頂にある祠

明星ヶ岳の案内板。箱根外輪山のなかでも古い山なのだそうだ。

               

宮城野への登山道にやまゆりが咲き誇っていた。


箱根大文字焼が行われる「大」の字の場所から早雲山、大涌谷方面を望む。


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