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レビュー「大豆田とわ子と三人の元夫」第4話

「第4話 嘘と嘘が絡み合う二人の三角関係」

とわ子の親友であり、家族同然であるかごめ。
自由で奔放。
第4話では、とわ子とかごめの強い繋がりと関係性の変化を描いている。

◯かごめと八作が”最後の晩餐”「コロッケ」でつながり離れる
コロッケ屋の前で悩むかごめを見かけて声をかける八作。
会話の中でかごめが首をかしげると、呼応するように、八作も同じ方向に首をかしげる。
逆の方向にかごめが首をかしげると、やはり八作もかごめと同じ方向に首をかしげる。
言葉数が少ない八作が見せるある種の感情表現であり、鳥の求愛行動のようにも見えてかわいらしい。

かごめは八作にコロッケをあげるけれど、一緒には食べず一人素っ気なく行ってしまう。
コロッケはかごめが最後の晩餐にしたいくらいの大好物。
かごめは八作を、八作はかごめを好きだけど、一緒には居られない。
かごめには恋愛の「好き」はない。だから一緒には居られない。
八作にとっては恋愛の「好き」だけど、かごめはかごめだから一緒には居られない。

追いたくても追いつけない。
掴もうとしても、指の間からするりと逃げていってしまう。
それがかごめなのだ。
数多の女性を虜にするモテ男八作が、かごめには翻弄される姿が切なくてもどかしい。

◯八作と早良とやりとり
八作は、親友(俊朗)の彼女である早良に惹きつけられた。
早良も同じ。
しかし、そんな早良に迫られても応じない。

八作「誰も好きにならないって決めてるから」「好きな人がいるから、好きになったらダメなんだよ」

八作が好きなのは昔も今も変わらずかごめ。
それは、とわ子と離婚した原因でもあり、八作が一生背負う十字架なのだ。

かごめと早良は自分の気持ちに正直で、ストレートな物言いなところは似ている。
だけど、違うところもある。
かごめはスマホを置き忘れるのに対し、早良は故意に置いて行く。
かごめには良くも悪くも打算がないのだ。

◯とわ子とかごめ。それぞれの特性。
かごめ「じゃんけんで一番弱いのは、じゃんけんのルールがわからない人。私にはわからない。」「みんなが当たり前にできることができない」
とわ子は、私だって同じ、社長の仕事がつらいと言い、かごめと同じ目線に立とうとしたり、かごめの漫画の制作を手伝おうとする。

でも、かごめは振り払うように言う。
「それ(社長)は、あなたがやらなきゃいけない仕事なの」
かごめには同情も馴れ合いも要らない。
とわ子の大変さも分かった上で、見抜いているのだ。
それはとわ子を尊敬しているから。

自分は自分の道を歩く。
とわ子はとわ子の道を歩いて。

それは、かごめの自立の決意と、とわ子への応援メッセージといえるだろう。


言葉にはならない、間や表情、仕草、目線の動き。
文章でいうところの余白や行間にあたるのだろう。
役者の方々のお芝居がきらりと光り、心の機微がより鮮明に映し出されている。
画面に映る照明や色の映し方、服装にも制作者のこだわりを感じて面白い。
見る度に発見があって味わい深い。





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