朝灯のかいじゅう 序章 小さな梟(ふくろう)は朝灯(あさひ)の周りを飛び廻る。 ぐるんぐるんと毎日忙しく飛び廻る。 昨晩だって小さく光りながら、西の空を飛んでいた。 朝灯はちょうど腹を空かせていたところである。 梟を見るや否やぶるぶると身を震わせて、一瞬間に弾けてそれを食らった。 梟はシャボン玉のように四散して、たちまち朝灯に呑まれゆく。 朝灯はぐんぐん膨れあがった。 鯨(くじら)の群は逃げ惑う。 あちらこちらへ尾をなびかせて逃げ惑う。 それがて