あいたくてききたくて旅に出る
東北に拠点を移して以来、大きな災害や人類が繰り返すべきでない教訓は、多くの人たちに語り伝えていくべきだと切実に思うようになった。
そして何より大切なことは直接的な被害を受けた人だけが語る権利を有するなんて、決して断定しない方がよい。語りは様々な人を通じて、様々な方向から語られるべきだと思っている。当事者性という呪いのような言葉があるが、語りの最も重要な主体は、語る方ではなく受け取る方なのだ。コミュニケーションの主導権はいつだって聴く側にある。そんな思いをいっそ強くするような本