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#22 期待してない自分~2018年 幕張編  vol.1

この「走り出す瞬間」ツアーは、当初、アルバム発売後に開催する予定だったのが、アルバム発売が1カ月延期になったため、横浜と東京はアルバム発売前の開催になってしまった。
それだからなのかは不明だが、早々と幕張メッセイベントホールでの2DAYS公演が追加発表された。

当然、クニラも申し込み、見事、2日目を射止める。
しかも、この日はツアーの千秋楽でもある。
これは期待しかない。

【試験】
前の記事で、アルバム「走り出す瞬間」と「走り出す瞬間」ツアーが「日向坂46」にとって原点になったと書いた。
確かに、彼女達にとって原点ではあるが、運営にとっては原点と言うような緩いレベルの話ではない。
このツアーは試験なのだ。

アルバムの売り上げ、ライブの集客、ライブのパフォーマンス。(特に2期生)
そしてアイドルとしての覚悟。
単発のライブでは計れない、ツアーと言う継続性がある環境下での試験。

先の武道館ライブで受験資格を得たとするならば、この「走り出す瞬間ツアー」は最終試験であり、そして、このツアーファイナルで結果が出ると言う事だ。

何の試験か。

それは「ひらがなけやき」のシングルデビューへの試験だ。

プロの世界では勝算もなくシングルデビューなどはさせない。
ましてや思い付きや軽はずみなどはあり得ない。
そのためには、デビューまでを逆算して、最低でも半年は準備が必要だろう。

結果的に、この半年後に彼女達「けやき坂46」は「日向坂46」と改名して、念願のシングルデビューを果たす事となるのだが、我々ファンは、この時点では、それを知る由もない。
想像も出来なかった。

【戦略】
運営は、本当に「ひらがなけやき」のシングルデビューを考えていたのだろうか。
そもそも、この異形で中途半端なアイドルグループに対して、どのようなビジョンを持っていたのだろうか。

「けやき坂46」は長濱ねるを「欅坂46」に加入させるため、ねるの加入を他の欅坂メンバーに納得させるために出来たグループである。
故に、長濱が「漢字欅」専属になった時点で、役割を終えている。

本来ならここで(2017年秋頃)解散なのだが、それは出来なかった。

理由は3点。
①受け皿がなかった。
「漢字欅」と合併(吸収)すれば良かったのだろうが、「漢字欅」が選抜制を拒んでいたため、それが出来なかった。
「ひらがなけやき」の人気メンバー何名かのみ、「漢字欅」に加入させる方法もあったが、それすらも「漢字欅」は拒んだ。
「漢字欅」は結成メンバー21名を運命だとして、純血にこだわっていたのだから。

それならば解散となるのだが、さすがにメンバーへの救済措置を取らずに解散するのは無責任過ぎるし、批判を免れない。
「ひらがなけやき」のメンバー達は人生を変えてアイドルになったのだから。

②人気。
「ひらがなけやき」に全く人気がなかったのなら、解散したとしてもリアクションは少なかったかもしれない。
ただ、長濱が脱退した時点においても、少なからず人気があったので、アイドルビジネスとして解散させるのは損だと言う運営の考え。

そして、長濱が抜けてから、判官贔屓等で、逆にコアなファンが固定されて、より人気が出てきたと言う、良い意味での誤算もあった。

③長期的ビジョン
アイドルには適齢期があるため、21名の絆を信奉する「漢字欅」であっても、いつかはメンバーが入れ替わる。(平手だっていつかは卒業する)

アイドルは直ぐに育つものではないので、人材ストックの観点から、選抜制に移行する方がアイドルビジネスとしての継続性は安定するので、運営は長期的に選抜制に移行するビジョンを持っていた。

ただ、その選抜制移行を10年も待てる訳ではない。
アイドル業界は移り変わりが激しいのだ。

そう考えると「ひらがなけやき」は、丁度良い人材ストックグループではないか。
なにもわざわざ解散させる必要もない。
そもそもの結成コンセプトがそうだったのだから。
要は適度に仕事を与えて(例えばアルバムなんかをリリースさせて)所謂「塩漬け」にして、近い将来の選抜制に備えれば良い。
今と変わらずに、このまま飼い殺す。
そんな考えで運営はいたはずだ。

ただ、先の武道館ライブでの評価と、TV番組「ひらがな推し」の評判の良さで、運営の考えが変わる。
これはシングルデビューさせる手もあるのではないかと。

そして1つの構想が生まれる。
仮にスーパーKEYAKIZAKA構想とでも言おうか。

選抜制において、なにも「選抜=1軍」と「アンダー=2軍」に別ける必要はなく、つまり「漢字欅」と「ひらがなけやき」は独立した姉妹グループとして、シングルをリリースさせた上で、その両グループから選抜して、
仮に「KEYAKIZAKA46」として更にシングルをリリースすると言う構想。

もちろんセンターは平手なのだが、これなら、両グループの絆や個性は残せるし、新たな展開が見込める。
なにより平手を別格として扱える。

平手以外の選抜はシングル毎に変えても良い。
例えば「KEYAKIZAKAエイト」とでも名付けれはよい。
そうすれば、選抜のステータスも上がるし、新鮮さを失わずにすむ。
選ばれなかったメンバーだって、それぞれのグループでシングルをリリースし、個別に活動させれば、モチベーションは下がらない。

「ひらがなけやき」のシングルデビューさせるのは、中々良い案だ。
ただ、それには、「ひらがなけやき」に、それに価するものを示して貰わなければならない。
「漢字欅」と釣り合いが取れなければ意味がないのだから。

それが「アルバム」の売り上げであったり、「走り出す瞬間」ツアーの動員数やパフォーマンスのクオリティなのだ。

考えてみて欲しい。
アルバムのタイトルが「走り出す瞬間」なのに対して、リード曲が「期待してない自分」である事を。
「走り出す瞬間」と言うポジティブなタイトルに対して、リード曲は「期待してない自分」と言うネガティブなタイトル。
もちろん「期待してない自分」は逆説的な意味なので、本来はポジティブな意味ではあるのだか、初めてのアルバムのリード曲にしては意味深長過ぎやしないだろうか。

青空のせいじゃない
ずっと見上げてたわけじゃない
期待しないってことは
夢を捨てたってことじゃなくて
それでもまだ何か待ってること

青空(漢字欅)のせいじゃない。
ずっと見上げてた(加入する事)わけじゃない。
期待(加入を)しないってことは
夢を捨てたってことじゃなくて
それでもまだ何か(ひらがなけやきとしてシングルデビューを)待っていること。

「ひらがなけやき」にとって、このアルバムとツアーは「走り出す瞬間」てはあっても、シングルデビューは「まだ期待はするな」と言う事なのだ。

故に、まだシングルデビューまでは、辿り着いてない事が分かる。
その試験、即ちシングルへのGOサインが、このツアーでの結果なのだ。

そして、重要なのが、この時点では改名して別グループとして活動する事は考えてられてはいなかったのではないかと言う事。

では、何故、別の道を歩み始める事になったのか。
それは、平手友梨奈が、それすら(スーパーKEYAKIZAKA構想)拒んだと言う事だと思う。

実は、この記事は、日向坂デビューカウントダウンの記事で書こうと考えていたのだが、この段階で書かないと、この「走り出す瞬間」ツアーと、次の「欅共和国2018」での伝説が伝わらないと思ったので、この幕張の段階で書いた。

都市伝説的な記事になったが、そのとおりである。
これはクニラの都市伝説であり、想像でしかない。
ましてや、この当時、クニラは、こんな穿った考えで、ライブを観に行っていない。
単純に行きたいから、観たいから、行っているだけだ。
そして、いつも感動を与えてくれた。
それはそれで満足だった。

ただ、振り返った時に、欅坂とは何だったのだろうか、また、「ひらがなけやき」とは何だったのだろうと考えざるを得ない。

1番最初に書いた記事「危なっかしい計画」で触れたが、クニラは大切なものを捨てた。否、捨てられた。
そんなクニラにとって、生きる希望を与えてくれたのは「漢字欅」や「ひらがなけやき」なのだ。
それなクニラにとって、何度目かの青春なのだ。

だから、不可解な結末を、そのまま受け入れられないのである。

まぁ、そんな落ち着かない青春よ(笑)

次回、ライブ本番。
「走り出す瞬間」ツアー千秋楽。

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