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家⑩




後ろの家に集まってくるモノが、我が家の二階のトイレの窓から入ってきて、階段を降りて私が眠る一階の和室にやってくる。

この日の夜も布団に入って間もなくそれはやってきた。
何かが階段を伝って降りてきて和室にきた。いつもは金縛りになるが、この日は違った。
何かが首の後ろから入ってきた。
上手く説明できないが、何か、エネルギーみたいなものが、首の後ろからぶつかるように力まかせに無理やり入り込んできた感じがした。
このままだと自分が自分でなくなってしまうという恐怖に駆られた私は、
「出て行け! 出て行け!」
と心の中で叫んだ。
こういう時は、私は何もしてあげられません。と念じるといいって言うけど、私は
それができない。恐怖から逃れたくて足掻いてしまう。

その、エネルギーみたいなモノは私の身体の中で消えた…多分。
他の人にこの話をすると、霊は首の後ろから入ってくるって教えてくれた。
怖っ!

別な日。
やっぱり上から階段を伝って何かが降りてきた。
ああ、来たな。と身構えてると、その何かは大きな平べったい塊になって、上から私の身体をバチーンと叩いた。
ハエ叩きで叩かれたハエになった気分。
怖いと言うか、複雑な気持ち。




我が家にはいろんな怪異がおこるが、これまで息子がそのことについて話すことはあまりなかった。
だから息子は大丈夫なんだと思ってた。
でも違ってた。
金縛りとか物音とか小さな現象だが、怪異はあったらしい。

子供の頃。幼稚園児から小学生くらいの時、一階の和室で私と子供2人の3人で眠っていた頃、よく部屋で知らない女の人を見てたらしい。
あと、家の至る所から色んな音がしてたそうだ。
言われてみれば、変な物音がすると言われたことあった。
家の軋む音だよと返したような気がする。

高校一年生の頃の話らしいが、二階の真ん中の部屋で寝てた時、壁に人の横顔が現れたそうだ。その顔は口元をごにょごにょと動かし、何か呟いていたそうだ。
それを聞いた私は、何故だろう…。
「その人、知っている人じゃない?」
と聞いてしまった。
息子はわからないと話したが、私は何でそんなこと聞いたのかな? ただ、この話を聞いた時、2人の人物の顔が思い浮かんだから。
1人は生きている人。もう1人は故人。


  ※これは2019年12月12日・14日にblogにあげたものを再編集したものです。

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