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【STAND UP FOR ANIMALS動物愛護シンポジウム】覚書き⑤

ずいぶんと時間をおいてしまいましたが、4月に行われた、保護猫カフェ「ねこかつ」さん主催の動物愛護シンポジウムに参加しました。
その時のことを、覚書として書いておこうと思いたち、noteを立ち上げました。

その大きな理由の一つは、講演者である「アニマルライツ」代表岡田さんの「畜産動物に対するアニマルウエルフェア」について、以前違う場所での講演会でお話を伺い、非常に心を打たれたからです。

その時既にベジタリアンではありましたが、今回も含め、たとえ肉や魚を口にするとしても、その生産場に感謝と敬意が無ければ、絶対にいただかないと強く心に決めた瞬間でした。

投稿を二つに分けて覚書を掲載するのは、わけがあります。
前回は「畜産動物に対しての動物福祉」。
今回は、「実験動物」と「エキゾチック・アニマルや昆虫、爬虫類等の輸送」と言う、新たなお話があったからです。

こちらも、本当に日本全国民に知っておいてもらいたい、重要なことですので、絶対に残しておきたいと思い、個別にしました。

思い出すのも辛いことですが、現状を知らなければ変えられないことがあります。そんな思いで書きます。

【実験動物について】
実は以前、別の団体で実験動物福祉についてのセミナーを受けました。

その時のことも少し交えます。残念ながら、講師の方のお名前をメモし忘れており、内容しかわかりませんが・・・・・

まず、動物実験とは何か。
これは、前臨床実験として、理論や仮説に対して、動物に人為的な操作を与えて(実験操作、処置等)確かめること。

毒性実験、身体の変化や薬が身体にとどまる時間等、薬を評価するためのモデルになるのが動物であります。

そのためには、動物の身体を検査したい薬に値する病気にしなければなりません。

日本には「動物実験代替法学会」と言う団体があり、恐らくそこの方が講師だったかと思うのですが、「動物実験福祉」の中で「三つのR」と言う規範が挙げられています。

すなわち「動物実験の削減(Reduction)、純化(Refinement)、置き換え(Replacement)」

例えば、「正しい結果を出すために、正確な数を出し、再度の実験をせずにできるだけ個体数を減らす。コンピューターシュミレーション等で、実験を代替えする」等がそれにあたります。

人間と動物を比べた時の正確性は、50%にも満たないと聞いたこともあります(真意はわかりません)、いずれは動物実験を廃止したいのは山々ですが、医療にかかわることに関しては、その決断が難しいだろうとは、私も理解しています。

その上で、実験動物たちをどう保護していくのか。

【日本の現状】
環境省が提示している「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準の解説」と言うパンフレットでは、3Rのことは掲げてあっても、

「科学上の 利用である動物実験では、実験の精度や再現性が特に重要であり、 精度や再現性を確保できる範囲で Replacement や Reduction に 配慮するべきである。

と言う、「配慮事項」となっています。さらに

「Refinement では「利用に必要な限 度において」という前提がある。実験の精度や再現性に影響しな い限り、Refinement を実践しなければならない。 」

つまり、「影響する」とすれば、3Rは関係なくなるということです。

動物問題に関しては、環境省も農林水産省も、まず実態を把握していないことも大きな問題と言う風に、岡田さんのお話からは感じました。

例えば、実験動物をどこで「仕入れる」のか。
必ず飼育施設があるわけですが、どれも大きな施設ばかりではなく、神戸のとある雑居ビルで飼育されていたりします。

しかも、この業者に関しては「実験制度届け出」を提出すれば良いらしく、「動物取扱業」ではありません。そうなると、動物愛護法は適用されないということになります。

こういったことに、法改正が必ず必要なのですが、こういった実験動物に関しては、医者系の議員に道を阻まれるとはっきりとおっしゃっていました。

そういえば、2021年に動物愛護法が改正された時も、一部獣医師会が反対の声を上げていました。
そういう医師たちは、ペット業界との関わりが深いということでしょう。

本来、動物を救うべき医師たちの中にも、利益によって心を失う人間がいるというのも、余りにもあからさまで、呆れてしまいます。

【実験動物の今後は?】
特にEU諸国では、動物福祉に関してドンドン進んでいる昨今と言う感じがしますが、まずは法律の不備をただすべきだと、岡田さんはおっしゃいました。

「行政に相談する根拠がない。」

悲しい言葉ですよね。
自主規制ほど、信頼するに値しないものはありません。こと、動物福祉においては。

今は無くなりましたが、学校でカエルやフナの解剖をなさった方もいるでしょう。
そういった脊椎動物にも感情はあります。
大手企業などは、意識喪失をさせてから屠殺するそうです。
宗教観の違いもあるかもしれませんが、いずれにしても、感謝と敬意が必要なのだと強く感じます。

【ゆうパックで送られる動物たちの悲劇】
最後に、語られたのは、動物、とくにエキゾチックアニマルや昆虫などの輸送の話です。

実際、動物輸送に関しての法律はないのだそうです。

一昨年でしたか、王子動物園から1歳のキリンが輸送されたさい、コンテナに入れられ、横転した際首を立てられず、窒息死しました。しかも園は違いましたが、二度も起きています。

そうかと言えば、ほかの動物園では、輸送用の檻を作成し、ちゃんと首を立てたままトラックに載せられ、現地に到着しています。

こういった事故が起きるのも、法律がないからでしょう。

個人的に、その際の状況(医師が立ち会ったか、休憩をちゃんといれたのか等)、動物園に問い合わせましたが、返事はありませんでした。

それと同じく、郵便局のゆうパックで小動物やエキゾチックアニマルが輸送され、死んでいます。

【ゆうパックの言い分】
ゆうパックは、基本哺乳類は禁止としていますが、「死んでもかまわない」のであれば、わかっていても送ります。

これは、以前、ニュースで取り上げられたか、サイトで見たのか、忘れましたが、事件を知ったので、私自身で問い合わせをしました。

しかし、帰ってきた答えは、同じです。全文記載しておきます。

「弊社は郵便法(動物愛護法ではありません)に定められた、ユニバーサルサービスの提供における郵便物の送達及び貨物法制下による一般貨物の配送サービスを各種関係法令の元、お客様への確実なサービス提供に努めて取り組んでおります。

この度、頂戴したご意見は、大変貴重なご意見として真摯に受け止め、昨今の飼育生物の多様化、高齢化に伴う社会環境の変化及び、社会が生物とかかわる重要性に鑑み、今後より良いサービス提供について、引き続き、慎重に検討してまいします。云々」以上。

これは、最初に送ったメールに関して「確認中」と返信があった後、しばらくして返信がこないので、再度問い合わせしてやっときたメールです。

因みに、私が送ったメールは、「生き物を配送すること(哺乳類以外でも)を承諾しているのか」「それに対して倫理観はないのか」等だったと記憶しています。

メールにも書いてあるように、「貨物法」で善処はあっても、彼らは動物取扱業でありませんから、そこについては関係ないということであり、当然、取り締まりもありません。

客が持ってきた物に対して、「動物ですか?」「違います」と言えばそれまで。

もし、「爬虫類です」と言ったとしても、「3.4日の間、箱に入れっぱなしです。死んでも責任取れません」と言ったことに、客が了承すれば、受け取るわけです。

こうして、ミーアキャットや蛇やカエルが、4日も箱の中に閉じ込められて、水も餌も与えられず死んでいきます。

岡田さんの講演では、必ず現場の写真がありますが、この時は、ゆうパックの箱の中で真っ黒になった新聞紙に横たわったミーアキャットの亡骸が写されました。

これは、見ました。
見なきゃ、申し訳ない。
心から謝罪して祈りました。

【まとめ】
長く書きましたが、結局は、「法」がないから規制できない。
それだけです。

しかも、動物のことに関しては、誰しもが、「人間以下の命」と思っている。

食べるから法がいらないのか、昆虫だから感情がないから、法がいらないのか。

でも、自分の子供が、小さな箱に閉じ込められて4日も水も餌も与えられず死んでいったら、その犯人を血眼になって探すでしょう。そして、極刑を望むはず。

岡田さんの後に、映画「犬部」のモデルになった、太田獣医師が登壇されますが、彼が言った言葉が本当に胸に刺さります。

「社会として、人間として、最低限の責任を取る」

これは、動物に限らず、自然に対しても、人間が必要以上に、軽々しく搾取したものに対して、私たち自身も、責任を取るべきなのだと、心から思いました。

常に、辛い現場に立って、戦っていらっしゃる岡田さんにも、敬意を表して祈った時間でした。



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