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【STAND UP FOR ANIMALS動物愛護シンポジウム】覚書き④

いきなりですが、私はベジタリアンです。

良く、ヴィーガンと間違えられるのですが、ヴィーガンは動物性食材を一切口に入れません。肉や魚はもちろん、卵、ハチミツなども食べません。

ベジタリアンは、そこまで厳密ではなく、種類も色々あって、私は乳製品とハチミツは口に入れるラクト・ベジタリアンです。

以前は卵も食べていましたが、鳥インフルエンザが蔓延した際、鶏たちがどれだけ悲惨な目にあっているかを知り、とても口に入れることが出来なくなりました。

今回の講演でも畜産動物たちの様々な状況を目の当たりにして、改めて彼らの犠牲を無駄にしないと心に誓ったのです。

保護猫カフェ「ねこかつ」さん主催の動物愛護シンポジウム「STAND UP FOR ANIMALS」覚書の4番目は、一番まとめるのが難しいと躊躇してしまう、けれど、残しておかなければ後悔すると思う方です。

講演は、認定NPO法人アニマルライツセンター代表の岡田 千尋(おかだ ちひろ)氏。

アニマルライツセンターは、主に畜産動物の保護と権利のために戦っています。

犬猫の問題は、かなり認知度が上がっていると思いますが、やはり畜産動物やエキゾチックアニマルの福祉に関しては、遅れを取っている感じがします。

理由の一つは、実際に私たちが彼らを食料として見ているからでしょう。

お肉屋さんや魚屋さんの店頭に並んでいる彼らの肉体は、ただの「食材」でしかなく、特に切り身になっているものは、形もありません。

「どこそこの肉が美味しい」とか、「鮮度が大事」と言って、魚の活け造りなどを楽しむ趣向が日本にはあります。

しかし、彼らも人間と同様、感情があり、痛みを感じます。

だからと言って、動物福祉の倫理だけでは畜産を禁止することはできません。彼らはやはり「食用」なのです。

食べるから、食材だから、彼らの扱いは残虐で良いのか、いえ、絶対にそうではありません。

なぜなら、その「残虐な扱い」を受けた彼らの魂が、そのまま、私たちの命を作るからなのです。

【畜産動物のアニマルウエルフェア】
アニマルウェルフェアを知るうえで、必ず理解しておいていただきたのが、「5つの自由」と言う言葉です。

すべての家畜に「立つ」「寝る」「向きを変える」「身づくろいする」「手足を伸ばす」といった自由を与えること

この「5つの自由」を念頭に、岡田さんのお話しを掘り起こしていきます。

まず、大きな問題として、畜産動物、魚類、両生類は動物愛護法から抜けているという事実を語られました。

これは、先ほどから書いていますが、「畜産動物」と言うレッテルがあるからです。つまり、食べ物だから。

例えば、網にかかった魚は重さでしか計りません。その数は不明です。

病気になった鶏が出たら鶏舎全体に抗生物質を撒きます。これは薬剤耐性菌を増やし、人間でも死ぬ可能性があります。

また畜産動物は虐待も受けやすいです。
それは、世間の関心が低く、見えにくいからだと岡田さんは仰いました。

ずいぶん前になりますが、有名な食肉加工会社の社員が、昼休みに子豚をボール代わりにして、サッカーをしていたと大きなニュースになりました。

つまり、「どうせ食べるから」と言う倫理のもと、彼らは恐ろしい人害の被害動物なのです。

ご存じでしょうか?畜産動物を管理する役職は農林水産省です。
犬や猫は環境省。

そういう意味なのか、農林水産省には強制力がないのだそうです。と、言うよりも、スタンスがない。動物愛護法がないからだということらしいのですが、

たとえ畜産動物が食料の一つだとしても、実際に彼らは息をし、命があるわけで、ましてやその身体は、人間の肉を作るし、呼吸や排泄物は、気候変動に大きなかかわりがあると言われています。

これを管理することが出来ない、強制力がないというのは、詭弁だと思いました。

【世界と日本の違い】
今、EU諸国では大きく宣言をして、アニマルウエルフェアの価値を上げています。

岡田さんは、いくつか画像や動画を使って現状を説明してくださいました。
私は違うセミナーで、岡田さんの講演を聴いたことがあるのですが、こういった画像は、やはりかなりセンシティブだし、残酷です。

岡田さんは、必ずそういうことを説明して、「見たくない方は、下を向くなどの方法を取ってください」と最初に説明があります。

そういう意味では、その動画なり、写真なりを取っているのはご自身か、スタッフさんなわけですから、かなりの現場をご覧になり、そして、心を強くしておられるんだなと感じます。

残念ながら、私は目を上げることはできませんでしたが、写真は見ました。いつものことながら、畜産動物たちの置かれている現状が、どれほどのことか、胸が苦しくなります。

一番、わかりやすいのは鶏です。

日本は卵が本当に安いですよね。
そして、毎日毎日、大量に卵が消費されている。恐らく消費者は、それが「卵」と言う食材と言う認識しかなく、鶏が実際に生み続けているという風には、連想しないのではないでしょうか?

事実、私も昔はそうでした。
出来るだけ、やすい卵を買い求めていましたし、そのためにどれだけの鶏が苦しんでいるのか、考えたことも無かったです。

鶏たちは、卵を産み続けるために、バタリーケージと言う、体の大きさしかないような狭いケージに入れられて、息もできない状況の中で、生きています。

そういう鶏舎には窓もありませんから、暗闇の中、ただただ卵を産むだけのためにいるのです。

鶏肉になる鶏も同じように悲惨です。
生まれて50日まで、鶏で足の踏み場もないような場所に、びっしりと入れられ若鳥になるまで「生かされ」ます。

そこの従業員の仕事は、鶏たちの間に足を入れながら、何メートルもある「鶏の土」を歩いて、死骸を見つけることだそうです。

このケージの中では、水にも餌にも容易に届かないです。
餓死する個体もたくさんいるのです。

この段階で、すでにアニマルウエルフェアの概念は何一つありません。

それでも、ひな屋が次々とひなを運んでくる。

雄雌の選別をやって、雄のひなは生きたまま、粉砕機に入れられて殺されるのをご存じですか?

【意識喪失しないで殺す日本】
卵を産まなくなった鶏は殺されるそうですが、この時の扱い方も、海外とは大きく違います。

基本、海外は電気ショック等与えて、意識を喪失させて殺す。

日本は、首を切って、失血死させます。
つまり、血がなくなるまでは苦しみながら生きているのです。当然ながら、すぐには死にません。そうすると、どうするか。

生きたまま、熱湯に入れて茹で殺します。

ここに至って、動物愛護法に意味がないことは容易にわかります。

豚は妊娠ストールといって、母豚を身体の大きさしかないケージにいれて、子供を産ませます。
母親がそのケージを出られるのは、そこから屠殺場へ行く通路だけです。
その瞬間は、身体が自由になり、喜んで歩くのだそうです。

そして、生まれた子供は、生後7か月になると、去勢されます。
これは、無麻酔で獣医師でもない、農家の人が剃刀等で、睾丸を取り出します。

理由は、「雄臭」を取るため。

「じゃあ、食うなよっ!」って言いたくなるのは、私だけでしょうか????

また、断尾後は豚の成長効率が向上し、飼料を節約し、尾噛みを防ぐことができるという理由から、尾も切られます。

何度も言いますが、無麻酔です。

余談ですが、確かコーギーもしっぽを切られてました。
これも、日本には規制がなく、無麻酔でやっている獣医の話を聞いたことがあります。

理由は、牧羊犬として働く際の安全確保や税金対策、感染症予防、キツネと間違われて撃たれるのを防ぐなどの歴史的な背景だそうですが、どれも、人間のエゴだけですね。

【最低ランクの畜産動物の現状】
ここまでのお話を、たんたんと、事例としてお話をされている岡田さんですが、どれだけ悔しい思いをしてきただろうかと、聴いているこちらが、悔しく、苦しくなっていました。

彼らのシェルターには、バタリーケージから救い出した鶏や、近々は8頭の豚をレスキューされたと言います。

アニマルライツセンターに関しては、賛否色々ありますが、でも、実際にこうやって、実践できていることに関しては、誰にも何も言う権利はないと思っています。

グリーンピースのように、クジラを守るために船を乗っ取るわけじゃない。

これだけの資料や映像を集めるだけでも、かなりの現場を歩いて、実際に内部告発も聞きつつ、証拠を集めているわけですから、やはり真似できない情熱だと思います。

とにかく、今の畜産動物の現状を早急に改善し、アニマルウエルフェアを普及させていかないと、気候変動は収まらないし、私たちが安全で安心な食肉を得られるとは、到底思えません。

岡田さんも仰っていましたが、畜産動物の福祉は、人間の身体に直接かかわる問題なのです。

最初に私はベジタリアンだと書きました。

理由は、今、ここに書いた現状があるからです。
その犠牲の上に、自分の身体があることが我慢できない。

しかし、食べることを否定はしません。
そういう運命だとも知っているからです。

だからこそ、そこに敬意と感謝があってほしいのです。

だって、私たち人間は、何一つ自分たちで作り出せるものはないのです。

食べるにせよ、最小限の数でいいし、破格に安い卵を大量に作る必要は、何一つないのです。

毎日卵を食べなくても、死なないですから。

岡田さんのお話は、この後、実験動物、また動物輸送のことについて、続きます。


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