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やっぱりまだ猫は飼えない

私のメールアドレスにMOMOという文字が入っているので、たまに「ミハエル・エンデのモモが好きなんですか?」と聞かれることがあります。

メールアドレスのMOMOは、かつて私が飼っていた猫の名前です。

写真を探したのですが、ももが生きていた頃はスマホなど普及していた頃ではなく、デジカメもポピュラーではなかったと記憶しています。

この絵は、昼寝をしているももを私がスケッチしたものです。

「私は絵が苦手で」と話したら、絵手紙を描いている友人が、「葉書サイズくらいなら気軽に描けるから一緒にやってみる?」と言ってくれて、「それじゃ」と友人の助けを借りることにして始めてみました。

道端に咲いている花を題材にして描く事が多かったけれど、この時は、ももが気持ちよさそうに寝ている姿をみていたら、描いてみたくなったのでした。

木枯らしが吹く12月、仕事帰りに夕飯の買い物を終えて家に着くと、玄関前に猫がうずくまっていました。

玄関の扉を開けようにも、猫をそこからどけないと扉を開くことができません。仕事鞄と買い物袋を下ろしてから両手で猫を抱き上げると、目ヤニと鼻水で顔がくちゃくちゃに汚れていて、お腹もぺったんこ。目がはっきりと見えない状態でどうやってここまでやってきたのかしらと思いました。とりあえず水を飲ませてあげようとしても、容器から直接飲む力がありません。急いで薬箱から探し出したスポイトで猫の口元に水を運びました。

思い返して、あの時、ももが玄関の扉のすぐ前に居なくて、ちょっとでも横にずれた所にうずくまっていて、私がももをどかさずに家の中へと入ることができたら、私とももの未来は変わっていたと思います。

もも、あの場所に居てくれて、ありがとう!

あの場所に、ももが居たことは、すなわち私の家の猫になるということがもう必然的に決まっていたのだと思います。

それからももは、7年間、私達家族と暮らしました。

先週、しばらく使っていない毛布をお日様に当てる為にベランダに干しました。

そうしたらその毛布のはしっこに、ももの毛を発見しました。

薄い茶色とクリーム色の毛。

猫がいない暮らしになって、もう12年経ちます。

お日様の光に温められた毛布に顔をうずめると、あのももが蘇ってきます。

やっぱりまだ猫は飼えないかな。



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