喜びをアウトプットする。例えばお礼状
初めまして、三木と申します。
私は大阪の町工場に勤める49歳のおじさんです。直筆でお手紙を書くのは28年ぶりのこと、乱筆になりますことお許し下さい。
さて、あの茶色いお菓子に出会ったのは5日前でした。
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「出会い」
我が家の食器棚にはお菓子をストックするコーナーがあり、夕食後に何かあるかな?と覗いたところ大きな透明袋に入った「おかき」っぽいモノが目に入りました。
越後製菓 ふんわり名人 きなこ餅
いやいや、おかきなのに柔らかい餅の様に「ふんわり」ってありえないでしょ・・・と呟きつつも、きなこ好きなもんですから早速袋を開けてみます。
人差し指と親指で きなこ餅をつまみますと、軽いというか重さはゼロに近い・・中身はスカスカのようだ。
口の中にぽいっと放り込み ”シャクシャク”と2回咀嚼すると一瞬でその存在が消えた。ん?? これの一体どこが きなこ餅なのだ?と少し違和感を覚えながら飲み込んだ瞬間に「あの時の味」がやって来たのです。
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「きなこの思い出」
私はトッピングや薄めて使うモノを直接口に運ぶクセがありました。少年期に台所でお菓子を探しても無いときはコーヒーに入れる「クリープ」や「ニド」をスプーンですくって直接食べていましたし、
当時高価だった練乳缶に缶きりで2つ穴を開け、顔の上で缶を傾け 垂れて来た練乳を 直接口で受け止めることは お菓子より贅沢なご馳走でした。
ちなみに私は これを "原液シリーズ" と呼んでおりまして、粉末の王様は「ミロ」 液体の女王は「カルピス」でございました。
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原液シリーズもいいけれど、やはりメインの食材と組み合わせることで力を発揮するのがトッピングの役割。
古来から日本には「相性の良い組み合わせ」というものがありまして、お刺身にはワサビ、うなぎには山椒、巨乳にはボーダー・・など先人の知恵がつまっております。
そして、組み合わせが多岐に渡る
お餅にはやっぱり「きなこ」が一番合う!と私は思うのであります。
きなこは他のトッピングと違い「自分で味を調整する」ひと手間が必要であり、この手間も楽しみの一つになるのです。
今でも瞼の奥に焼きついているのは、アルミの白雪鍋で沸かしたお湯に餅を浸し、柔らかくなるまでの待つ間、
少し深い小皿にきなこを入れて「きなこ2:お砂糖1」の割合でお砂糖をざくざくと入れてかき混ぜる。
私アホな子供でありましたから、甘いほど美味しいのだと思い込み、1が適量のお砂糖を 2つ、3つと投入しておりますと 母が横から声を掛けます。
「あんたアホやなぁ、甘さを感じたいんやったら、逆に塩をちょっと入れるんやで」
ほんまかいな?と思いながら母が一つまみの塩を入れると不思議なことに 先ほどの「きなこ」がより甘く感じる~すごい!と感心しものです。
ところが別の日に
私がこの塩をつまむと上手くいかないもので、塩気が少ないと味がぼやけるし、多すぎると塩の角が立ってしまう。簡単そうな塩加減に苦労した思い出もあります。
そして、御社が作る ”きなこの 塩味" は まさに「あの時の味」
当時 母が塩を一つまみ入れた"きなこ"と同じ味がしたのです。もしや母は御社でバイトしてたのでしょうか?
あまりに同じ味で感動した私は、きなこ餅を飲み込んだ瞬間にたまらず「お母ちゃ~ん!」と声が漏れ、天を仰ぎながら「ひとつまみの塩」を入れる母の笑顔を思い出しました。
その母は2020年3月19日の 良く晴れた日
85歳になりました
死んだと思った人は謝ってください
今でもめちゃ元気です
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冗談はさておき
私の予想では、ふんわり名人きなこ餅の開発者様は こう考えたのではないでしょうか?
「きなこ餅の"食感"を再現するのは難しい。
ならば"後味"を再現すればいい」
開発者様!本当のあなたの狙いは「後味」なのでしょ?もしそうならば私はまんまとハマってしまいましたよ、あなたは今これを読みながら ざまあみろと笑っていることでしょう。
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「お礼」
冒頭に書きましたが私は町工場の職人で20年ほど勤めております。
当たり前の話なのですが 、消費者からの感想や喜びの声が下請けの町工場まで届くことは殆どないのです。
だから私は越後製菓の開発担当者をはじめ、工場の現場で白い帽子とマスクを付けて日々きなこ餅を作り続けるパートのおばちゃんや、検品で一日中きなこ餅の不良品を目で追う人々にまで、精一杯のお礼を伝えたかったのです。
あなたが作ってくれた「ふんわり名人きなこ餅」のお陰で、これほど幸せになっている人がココにいるのです。本当に美味しいのです、手紙を書きたくなるほど美味しいのです。
改めて「 心からありがとうございます!」をあなたにお伝え致します。
まだ厳しい残暑が続きそうです 皆様もお体にはお気を付けてお仕事頑張って下さい。これからも美味しいお菓子作りを大阪から応援しております。
敬具
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「お手紙は」
100均で買った とってもファンシーな恐竜柄のお手紙セット。気持ちを込めた10ページに渡る直筆のお礼状を越後製菓さんに送りました。パートのおばちゃんにまで届くといいなぁ。
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おわりに
・美味しかった
・嬉しかった
・感動した
・ありがたかった
このような感情は 「アウトプットする」つまり表現することで 初めて相手に気持ちが伝わります。
褒められた人も嬉しくなってモチベーションが上がり、今よりさらに良い仕事が出来るかもしれません。
そして次の人からその次の人へ・美味しい・感動した・ありがとう のバトンが広がると 今よりもっと優しい世界に変わりそうな気がします。
今、あなたの隣に居る人に「アウトプット」すると良いかもよ~(笑)
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さて、今日はエエこと書き過ぎたので
きなこ餅 いただきま~す!
お母ちゃ~ん!!
いいねやコメントだけで十分でござーますよ!!