エッセー「松田優作に見る " 男の美学 "」

「最も危険な遊戯」、「殺人遊戯」、「処刑遊戯」から構成される遊戯三部作は、今なお日本映画史上に燦然と輝く不滅の金字塔である。

 遊戯三部作は、それまでの日本映画が最も不得意としてきたキャラクターである「プロの殺し屋」を、リアルに描く事に成功した唯一無二の作品群である。

 松田優作という稀代の役者、鬼才・村川透の演出、仙元誠三の斬新なカメラワーク、大野雄二のジャジーな音楽、そのどれ一つ欠けてもこのシリーズの成功はなかった。

 「殺人遊戯」冒頭の回想シーンで流れるのがこの曲、松田優作が歌う' 夏の流れ ' である。

 殺しの手引きをした秘書(中島ゆたか)をクルマの中に残し、朝もやの立ちこめる埠頭に一人消えてゆく鳴海昌平の後ろ姿。

 これをカッコいいと言わずして何をカッコいいと言えばよいのか。

 強くなければ生きていけない。優しくなければ生きる資格はない。

 男・漢、オトコたる者かくありたい。

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