見出し画像

エッセー「いつの時代も変わらぬ世の不条理を風刺する ”零心会のズンドコ節”」

 1986年、テレビ朝日系列で毎週金曜日の21時から放送されていた「ハングマンⅤ」。

 そのエンディングで白づくめの衣装に赤い手旗を持ち、硬派な歌と男踊りを披露していたのが「劇男零心会(げきだんれいしんかい)」である。

 劇男零心会は1980年代初頭に結成された男性のみの路上パフォーマンス集団。

 かの哀川翔や柳場敏郎もメンバーとしてその名を連ねていた劇男零心会だが、1983年に路上パフォーマンスをめぐって事務所と対立し一旦解散となった。

 その後、引き続きその名を受け継ぎ活動する新生「劇男零心会」と「劇男一世風靡(一世風靡セピアの母体)」に分裂、それぞれ独自の活動を展開した。

 さて、この曲「零心会のズンドコ節」。歴代ズンドコ節の中でも珠玉の名曲である。その歌詞(作詞:中西冬樹)が深い。

「屋根の上から下見れば、人間社会は変わってる、真面目人間不眠症、悪い奴ほど良く眠る ♪」

「道の端から見上げれば、人間世界は面白い、真面目人間汗流し、涼しい顔する悪い奴 ♪」

「水の中から外見れば、人間世界は歪んでる、真面目人間ウサギ小屋、庭付き豪邸悪い奴 ♪」

 人間社会の不条理を、猫、犬、金魚の目を通して看破する趣向が素晴らしい。

 そして、なんと言ってもそのキレの良いパフォーマンス。

 旧帝国海軍の手旗信号をモチーフにしたキビキビとした動きはまさに硬派、男踊りの極致である。


宜しければサポートをお願い致します!