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ワンマングルメ No.42「代官山で至福のシブーストを味わう。"パティスリー イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ"の愉悦」

 代官山の"パティスリー イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ"はお気に入りパティスリーである。

 IL PLEUT SUR LA SEINE(イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ)=「セーヌに雨は降る」という洒落た店名のこの店は、フランス菓子界の「巨星」と称される弓田亨氏がオーナーを務めるパティスリー。

 弓田氏の哲学である「普遍的な味」が脈々と息づくイル・プルー・シュル・ラ・セーヌのガトーは、素材の良さを活かした自然でやさしい味わいが特徴。

 個人的にはシブーストが大のお気に入り。シブーストほどパティシエの哲学と手腕が顕現・発揮さえれるガートーはないと確信している。

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 シブースト (Chiboust) とは、カスタードクリームにゼラチンとイタリアンメレンゲを混ぜて作った"クレーム・シブースト"を用いたガトーで、折りたたんだパイ生地(フィユタージュ)にリンゴ、クリーム・シブーストを重ね、上面をキャラメリゼして作られる。

 因みに、クレーム・シブーストは、1840年頃、パリのサントノーレ通りに菓子店を開いていた菓子職人シブーストとその弟子のオーギュスト・ジュリアンが考案したと伝えられている。シブースト以外には、サントノーレというガトーにも使われるため、クレーム・サントノーレとも呼ばれている。

 イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのシブーストは、フレンチメレンゲに熱いシロップを加えて作るイタリアンメレンゲとカスタードクリームとの配合が特徴的で、ほど良い硬さのクレーム・シブーストとオレンジリキュールのほのかな香りと酸味のリンゴとの相性は抜群。

 素朴だが、自然で優しい味わいは、以前パリで食したレストランのデセールを彷彿とさせる本物のガトーである。

イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ
東京都渋谷区猿楽町17−16-2F 代官山フォーラムAB棟
03-3476-5211


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鳴海邦彦 / KUNIHIKO NARUMI OFFICIAL
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