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アトランダム私小説 「死神」

 すでに泥酔状態にも関わらず、さらに飲み狂うカーチス2等兵の暴走を同僚の新兵達は誰も止めることができなかった。

 床にはミラーの空き缶が散乱し、バカルディの空瓶が派手な音を立てて砕け散った。

 突然黒い猛牛の動きが止まった。

 ある一点を凝視したまま微動だに動かない。

 店内はそれまでの喧騒が嘘のような静寂に包まれた。

 カーチス2等兵の視線の先には店のバーカウンターに腰を下ろし、一人静にロックグラスを傾ける一人の男がいた。

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